(後編)製材業を中核に地方創生を目指すトーセン【遠藤日雄のルポ&対論】

(後編)製材業を中核に地方創生を目指すトーセン【遠藤日雄のルポ&対論】

(前編からつづく)「母船式木流システム」によって提携工場を広げるとともに、山林経営や木質バイオマス利用などにも注力している国産材製材大手の(株)トーセン(栃木県矢板市)。同社の東泉清寿・代表取締役社長は、今後の大きな目標として、「製材業に軸足を置きながら地方創生に貢献すること」をあげ、そのためのプランを「実行に移すときに来ている」との認識を示した。では、東泉社長が描いているプランとは具体的にどのようなものなのか、遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長が新たなビジョンの核心に迫る。

50㎞圏内の資源を有効活用しウナギ、マンゴーにコーヒーも

1964年に創業したトーセンは、2014年に設立50周年を迎えたのを機に、「エネルフォーレ50」と呼ぶ独自の構想を打ち出した。製材工場と木質バイオマス発電所を中心として、50㎞圏内にある資源やエネルギーを有効活用し、地域の自立を目指すというものだ。その実践地の1つである栃木県の那珂川町では、廃校となっていた馬頭東中学校跡地で2012年から製材工場の操業を始め、木質バイオマス発電所(出力1,995kW)や関連設備を一体的に整備して、熱利用と組み合わせた事業を展開している。工場に搬入されるスギ・ヒノキを製材するだけでなく、加工過程で出てくる端材や樹皮(バーク)のほか、住民参加型の「木の駅プロジェクト」によって集められた林地残材などをチップ化して、発電所やボイラーの燃料として有効活用。また、発電所でつくった電気を売電するとともに、熱利用ボイラーも稼働させて、木材乾燥に熱を利用し、余熱はウナギの養殖やマンゴーのハウス栽培などを行っている地元の業者に供給している。

遠藤理事長

製材業者が木質バイオマス発電事業を行うことは珍しくないが、ウナギの養殖やマンゴーの栽培まで地元業者と連携し...

『林政ニュース』編集部

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