三菱地所ら6社が国産材の床システム開発 スギCLTを現(あらわ)しで使用、メンテナンスも容易

三菱地所ら6社が国産材の床システム開発 スギCLTを現(あらわ)しで使用、メンテナンスも容易

三菱地所(株)など6社は、国産材を使った新しい床システム「WOOD FLOOR UNIT3.2」(特許出願中)を開発し、5月31日に報道関係者に公開した。スギCLTを現しで使用し、木材本来の手触りや香りを保ちながら、特殊コーティングによって汚れ等を防げるようにした。簡便に施工できるのも特徴で、オフィスなどの木質化を進める新製品として販促を強化していくことにしている。

「UNIT3.2」は、三菱地所と(株)乃村工藝社(東京都港区)、三洋工業(株)(東京都墨田区)、(株)リンレイ(東京都中央区)、丸山金属工業(株)(千葉県船橋市)、MEC Industry(株)(鹿児島県霧島市)が共同で開発した。乃村工藝社がデザイン全般を監修し、三洋工業が支持脚、リンレイがコーティング剤、丸山金属工業が接合金物をそれぞれ開発、MEC Industryが製造・販売を担う体制を組み、約3年をかけて製品化した。

電源やケーブルなどを床下に納められるフリーアクセスフロアになっており、ホックコネクト式(1枚の重さは約4.0kg)とサイド篏合式(同約6.0kg)の2タイプがある。この製品を100m3使用すると約3.2tの炭素固定効果が見込めることから「UNIT3.2」とネーミングした。三菱地所が新丸ビルで運営するイノベーション施設の一部に敷設して経過観察を行っているが、「7か月たっても特段の問題は起きていない」(担当者)という。値段は、「設計価格でm2当たり3万円くらい。一般的なフリーアクセスフロアと同水準」(同)になる見通しだ。

独自コーティング剤で“木の風合い”を保つ、外構部に応用も

「UNIT3.2」の大きな特色は、国産スギの持つ温かで柔らかな肌触りを保てるオリジナルのコーティング剤を使用していることだ。開発したリンレイによると、一般的なアクリル系樹脂をスギに浸み込ませた上で塗膜をかける独自の薄膜技術を用いている。

同社の担当者は、「樹脂のブレンドなどを変えることで、様々な使用環境に対応できる。すでにいくつかのパターンを用意しているので、維持管理も含めて木材の利用範囲を広げていきたい」と話している。今後、外壁など外構部の木質化推進に応用していくことが期待される。

(2024年5月31日取材)

(トップ画像=「WOOD FLOOR UNIT3.2」のサイズは497mm×497mm、厚さは36mmと54mmの2種類がある)

『林政ニュース』編集部

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