政府は、物価高対策を中心とする総合経済対策を11月2日に閣議決定した。同対策の財政的な裏づけとなる今年度(2023年度)補正予算を11月中旬にも決定し、各種の施策を実行に移す方針だ。林野関係予算も前倒し実施への対応が急がれる。
総合経済対策は、昨年もこの時期に打ち出され、補正予算が編成された。その点では、既視感のある「同じパターンの繰り返し」(林野庁関係者)ではあるが、今回の総合経済対策には岸田首相が力点を置く「花粉症対策」が新たに入った。関係閣僚会議が10月11日に決定した「花粉症対策初期集中対応パッケージ」を「着実に実行する」とし、目玉施策である「スギ人工林伐採重点区域」を今年度(2023年度)中に設定すると明記した。
また、林野公共事業を含めた国土強靭化5か年加速化対策を推進し、TPP対策の一環として国産材の供給力強化や林業就労者の確保などを支援することも同対策に盛り込んだ。
「花粉」をプラスして前年度補正の1,162億円を上回れるか
林野予算の確保に向けて、総合経済対策に「必要な文言はすべて入った」(林野庁首脳)。焦点となるのは、同対策を実行するための補正の規模だ。昨年(2022年)の11月4日に決まった前年度(2022年度)補正予算では、林野関係に約1,162億円が計上された。今回は「花粉症対策」が加わるので大幅な増額を期待する向きもあるが、「そんなに簡単な話ではない。ただ、悪い数字にはならないのではないか」(同)という状況だ。
関係各課は、前年度補正の事業メニューを継続しながら、「花粉症対策」を上積みしてメリハリをつけることに腐心している。その答えが間もなく出る。
(2023年11月2日取材)
『林政ニュース』編集部
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