国内製材最大手の中国木材(株)(広島県呉市、堀川保彦・代表取締役社長)は、農林水産省及び経済産業省との間で「建築物木材利用促進協定」*1を5月13日に締結した。都市(まち)の木造化推進法(改正木材利用促進法)に基づく同協定を民間企業等と国が結んだのは、これで18件目。
中国木材は、ベイマツや国産材を使った製材・集成材加工、プレカット、木質バイオマス発電などの事業を大規模に展開している。全国14か所に拠点を持ち、このうち6か所で国産材製材を行っている。
同社の年間原木消費量は約270万m3に達しており、国産材の消費量も約115万m3と多いが、協定締結にあたって5年後の2028年度までに170万m3まで増やす目標を設定した。
目標達成に向けて、各工場の国産材使用比率を高めるとともに、熊本県八代市*2をはじめ国内の複数地域で新工場の建設を検討する。
また、プレカット事業では、28年度までに非住宅物件の比率を20%にまでに引き上げる目標を掲げた。
同社は、全国各地に約1万haの社有林を所有しており、今後も森林の取得を進めていく方針。各工場から50km圏内にまとまって存在するなどの条件を満たす森林から買い取っていくことにしている。
堀川保彦社長の話「バイオエタノールやナノファイバーなどの研究開発が進んでおり、木材の価値が変わる過渡期を迎えている。森林から出てくるすべての木材を受け入れ、付加価値を高めて利用することで循環型林業を実現し、環境問題の解決につなげていきたい」
(2024年5月13日取材)
(トップ画像=協定書を取り交わした(左から)橋本真吾・経済産業省大臣官房審議官、堀川保彦・中国木材社長、青山豊久・林野庁長官)
『林政ニュース』編集部
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