新林政支える環境税法と経営管理法が施行 9月に初の譲与税交付、自治体は基金設置へ

全国 税制

新年度(2019年度)のスタートと併せ、新たな林政を“両輪”として支える法律が動き出した。今国会で審議されていた森林環境税法(森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律、第597号参照)は3月27日の参議院本会議で賛成多数で可決、成立し、4月1日に施行。昨年5月に成立した森林経営管理法(第582号参照)も同じく4月1日に施行された。

森林環境税の課税(1人当たり年1,000円)が始まるのは2024年度からだが、譲与税の配分は総務省が借入金をする異例の対応により前倒しで実施される。2019年度は総額で200億円の譲与が予定されており、9月に第1弾が配られる。各自治体は受け皿として「基金を設置するところが多い」(林野庁計画課)状況だ。

新システムの成否を握る市町村、附帯決議で支援強化求める

森林経営管理法の施行により、市町村主導で未整備森林の解消を目指す「新たな森林管理システム(森林経営管理制度)」が実行段階に入った。林野庁は、昨年12月に「森林経営管理制度に係る事務の手引」を作成・公表して自治体等への周知を進めているほか、4月1日付けで森林集積推進室を新設して相談窓口の機能を担うようにした。同システムでは、市町村が森林所有者の意向を調査し、希望に応じて経営管理の委託を受け(経営管理権の設定)、林業経営に適した森林は「意欲と能力のある林業経営者」に再委託し(経営管理実施権の設定)、それ以外の森林は市町村自ら管理を行って針広混交林など自然に近い森林に誘導する。

マンパワー等が必ずしも十分ではない市町村が同システムの成否を握る仕組みになっており、サポート体制の拡充が重要になる。森林環境税法を審議した衆参両院の総務委員会では、採決時に附帯決議を採択し、市町村業務の支援や担当職員及び林業労働力の確保・育成、主伐後の植林・保育の確実な実施、放置人工林の広葉樹林化などに国が責任を持って取り組むよう求めた。

(2019年4月1日取材)

『林政ニュース』編集部

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