林政推進の中軸に位置づけている森林経営管理制度*1を見直す作業が本格化してきた。林野庁は、6月1日付けで「森林経営管理法等法改正検討室」(通称「タコ部屋」)を設置。城風人・森林利用課森林集積推進室長(平成9年入庁、東大林卒)をはじめ8名を配置して、同制度の根拠法である森林経営管理法などに関する総合的な検討に着手した。来年(2025年)の通常国会に改正法案を提出し、今年度(20244年度)内に成立させて、来年度から制度見直しを実行に移すスケジュールを描いている。
同制度は、2019年度から全自治体に配分されている森林環境譲与税と歩調を合わせるかたちで運用されている。森林所有者に対して意向調査を行い、市町村への委託希望をとりまとめて適切な経営・管理につなげるのが狙いだ。2022年度末までに1,070の市町村で81万haにわたる意向調査が行われ、回答があった所有者のうち約4割から委託希望が出された。だが、受託に必要な経営管理集積計画を策定した市町村は累計で337(面積は約1万5,700ha)、森林整備を実施した市町村は232(同約4,900ha)にとどまっている(令和5年度『森林・林業白書』より)。委託と受託のニーズをマッチングさせて、適切な施業を担える経営体などの“受け皿”を早急に整備することが課題になっている。
一方で、譲与税の原資となる森林環境税(1人年額1,000円)の徴収が6月から始まっており、新税が有効に活用されていることを国民にわかりやすく示すことも迫られている。譲与税の活用額はトップ画像のように増えてきているが、基金に積み立てて支出を先送りする市町村もみられ、取り組みに濃淡が出ている。国民に新たな税負担を強いて進める森林づくりの成果をいかに“見える化”するかが問われている。
(2024年6月1日取材)
『林政ニュース』編集部
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