国有林の新計画実行へ、事業計画など公表 花粉症対策や「効率的施業」モデルなど

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国有林の新計画実行へ、事業計画など公表 花粉症対策や「効率的施業」モデルなど

林野庁は、国有林野事業に関する今年度(2024年度)の主要取組事項や事業量を4月24日に発表した。昨年(2023年)末に策定した新しい「国有林野の管理経営に関する基本計画」*1を実行に移す初年度として、花粉症対策*2の加速化や生物多様性の保全、「新しい林業」の実現などの新機軸に関する施策を盛り込んだ。

花粉症対策については、都道府県が設定した「スギ人工林伐採重点区域」*3と連携して「重点区域に準じた国有林」を全国に約8万ha設け、花粉の少ない苗木等を使った伐採・植え替えを推進する。国有林における花粉の少ないスギ苗木の使用割合は約5割。この割合を引き上げるとともに、立木販売の不調・不落箇所では、森林整備事業(公共事業)によって伐採・植え替えの一貫作業を行う。

生物多様性の保全に関しては、国際目標である「30by30(サーティバイサーティ)」の達成に向けて、国有林をフィールドにして企業等が「自然共生サイト」を設定する取り組みなどを支援する。

「新しい林業」の実現では、新計画で創設した「特に効率的な施業を推進する森林」(全国で約56万ha)を使って、先進技術を活用した低コスト作業などをモデル的に実施し、その成果を民有林に普及していく。

今年度に計画している主要事業量はのとおり。素材(丸太)販売量(343万m3)の約65%にあたる222万m3は協定工場等に直送する「システム販売」で供給し、収入の安定的な確保を目指す。

国有林野事業は、2013(平成25)年度の一般会計化の際に残った約1兆2,800億円の累積債務を2048(令和30)年度までに完済することが義務づけられている。これから債務返済額を段階的に増やしていくことが計画されており、国有林材の販売強化などで継続的な増収を図ることが“重い課題”になっている。

(2024年4月24日取材)

(トップ画像=「特に効率的な施業を推進する森林」の設定と運用のイメージ)

『林政ニュース』編集部

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