国内2番目の「森林(商事)信託」実施へ 愛知県東三河地域で可能性調査スタート

国内2番目の「森林(商事)信託」実施へ 愛知県東三河地域で可能性調査スタート

国内で2番目となる「森林信託」(商事信託)の実施に向けた取り組みが愛知県でスタートした。「森林信託」は、個人や企業などの森林所有者(委託者)が信託銀行等(受託者)に所有林(財産)の管理・運用を託し、森林施業や木材利用などを通じて得られた運用益の一定割合を所有者に配当として還元する仕組み(参照)。林業の担い手不足や所有者不明森林の増加が全国的な課題となっている中で、相続等に左右されずに長期的な観点から森林を管理・経営する新たな手法として注目されている。

「森林信託」(商事信託)のイメージ

同県と三井住友信託銀行(株)(東京都千代田区)は、4月25日に豊橋市の東三河県庁(東三河総合庁舎)で「森林信託導入可能性調査業務」に関する契約を締結した。三井住友信託銀行は、2020年8月から岡山県の西粟倉村で約10haの私有林を対象にした「森林信託」を実施している*1。その実績を踏まえ、同県の東三河地域を対象にして、「森林信託」を導入する際の事業スキームやサプライチェーンのあり方、自然災害などのリスクへの対応、税務・会計処理──などについて総合的に調べる。年内には一定のとりまとめを行い、長期的な事業収支計画の立案につなげる予定。

同地域では、官民で構成する東三河ビジョン協議会が中心となって、今年度(2024年度)から「東三河森林ルネッサンスプロジェクト」に着手しており、「森林信託」はその目玉事業となる。

なお、「信託」には、受託者が「業」として財産を預かる「商事信託」と、非営利で行う「民事信託」があり、三井住友信託銀行は「商事信託」の事業化に取り組んでいる。「民事信託」による「森林信託」は、佐賀県の伊万里木材市場(株)などが行っている。

(2024年4月25日取材)

(トップ画像=4月25日に「森林信託導入可能性調査業務」に関する契約締結式を行った、画像提供:愛知県東三河県庁)

『林政ニュース』編集部

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