道局が広葉樹材の安定供給に向け“新施業” 「樹群択伐天然更新」の先行モデル実施

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道局が広葉樹材の安定供給に向け“新施業” 「樹群択伐天然更新」の先行モデル実施

北海道森林管理局は、広葉樹資源の確保・育成と公益的機能の発揮を両立させる新たな施業方法の導入に今年度(2024年度)から取り組む。世界的な資源競争の激化で海外から広葉樹材を輸入することが難しくなっている現状を踏まえ、国産広葉樹材の安定供給を図るとともに、生物多様性の保全やSDGsの達成などにも貢献することを目指す。

新たに導入するのは、「樹群択伐天然更新施業」。道内の天然林の多くでは、樹木が高さ20m程度に成長すると台風などの強風で倒れやすくなり、一定の開けた空間(ギャップ)に種子が定着し、新たな樹木が育っていく(「ギャップ更新」と呼ばれる)。この天然林本来の更新動態を踏まえ、0.04ha程度の樹群を1つの単位として伐採し、跡地の地表処理(ササの除去等)や根返し(機械による伐根のひっくり返し)を行って、次代の天然林を育成する。これまで天然林で行われてきた伐採方法(単木択伐)と比べて、確実に更新でき、支障木の発生リスクを抑えられるメリットがある。

道局では、昨年度(2023年度)までに石狩森林管理署管内などで「樹群択伐天然更新施業」の試行や現地検討会を行い、一定の成果が得られた。これを踏まえて、今年度は条件の異なる数か所でモデル的に実施し、適地の選定やシカ害対策などを検討し、本格普及に向けた体制整備につなげる。

モデル施業地の設定にあたっては、過去に人為が加えられた天然林を対象とし、原生的な森林生態系や希少な野生動植物が生育・生息する森林などは除外する。

「樹群択伐天然更新施業」に関する現地検討会の模様などは、道局のウェブサイトで公開されている。サイトはこちら

(2024年5月10日取材)

(トップ画像=「樹群択伐天然更新施業」の試験地、石狩森林管理署管内、画像提供:北海道森林管理局)

『林政ニュース』編集部

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