EU(欧州連合)は、2030年に向けて木材製品利用の長寿命化や30億本の植樹などに取り組む目標を掲げた「EU森林戦略2030(New EU Forest Strategy for 2030)」を策定した(7月16日に公表)。EUは、昨年(2020年)7月に2030年の炭素排出量を1990年比で55%削減するための政策パッケージ(Fit for 55)を公表、その一環として2013年に作成した「EU森林戦略 」を全面的に見直した。
新たに策定した「EU森林戦略2030」は、森林の経済的利用の推進、森林生態系の保全、モニタリングの実施──を3本柱に据えて、今後の施策課題を列挙。「持続可能な森林バイオエコノミー」を実現するため、①排出削減量の数値化などを通じた木材製品の長寿命利用の促進、②カスケード利用原則の徹底等による木質バイオマスエネルギー利用の適正化、③エコツーリズム等木材以外の利用推進、④人材開発──などに取り組むとした。
また、森林の保護・回復・拡大対策として、①天然林・原生林の保護制度の確立、②混交林の造成などによる持続可能な森林経営の強化、③都市・郊外を中心とした30 億本の追加的植樹、④共通農業政策(CAP)などを活用した森林所有者への経済的支援を実施するとしている。
(2021年7月16日取材)

『林政ニュース』編集部
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