
欧州製の最先端マシンが続々、日本市場への本格参入を目指す
会場の入口部分には、(株)新宮商行(東京都江東区)が日本総代理店をつとめるPONSSE社(フィンランド)製の8輪式フォワーダ「Wisent」が展示された。同機は、コンパクトなモデルながらハイパワーを有する世界でもトップクラスのマシン。併せて、最新型のハーベスタヘッドなども並べられた。


コマツ((株)コマツ製作所、東京都港区)のブースでは、CTL工法(Cut to length工法=短幹集材)で使われるハーベスタとフォワーダがお披露目された。同社は、今年(2025年)5月に両機を使用したCTL工法の本格導入を発表しており、日本の作業条件等にマッチするかが注目されている。


(株)柴田産業(岩手県一戸市)のグループ会社である柴田フォレストリーラボ合同会社(同)は、TERRI社(フィンランド)製のホイール式フォワーダ「TERRI 3FW」を持ち込んだ。最低地上高70cmという高い車高と、8つの車輪すべてが駆動して急斜面も克服できるのがウリだ。

日立建機日本(株)(埼玉県草加市)は、Warata社(フィンランド)製のハーベスタを出展。バリューバッキングシステムを搭載していることに加え、特殊な装置等がなくても林内でリアルタイムの通信ができる。通信設備を備えた1号機は、来年(2026年)1月に(有)天女山(山梨県北杜市)が導入する予定だ。

遠隔操作システムが着実に進化、急傾斜地対応の新・下刈機も
松本システムエンジニアリング(株)(福岡県篠栗町)は、昨年(2024年)に引き続きラジコン式伐倒作業車「シン・ラプトルⅡ」に加えて、急傾斜地に対応可能なスタビライザー付きの遠隔操作システムも実演した。ゲームコントローラーで操作でき、VRゴーグルを使用した立体映像システムによって、オペレーターは運転席に座っているような感覚で遠方からでも機体を動かせる。



創立75周年を迎えているイワフジ工業(株)(岩手県奥州市)は、遠隔操作式のフォワーダとバケット付きグラップル等のデモンストレーションを行った。同社が遠隔操作可能なフォワーダを市場に投入するのは初めて。また、バケット付きグラップルは、路網開設や転圧などがしやすいように改良されており、特許を取得している。


(株)筑水キャニコム(福岡県うきは市)は、来年度(2026年度)中に発売予定のラジコン式下刈機「山なみ傾子」を出展した。クローラが左右に各20cmスライドする機構になっており、等高線方向の作業でも傾斜40度まで対応できる。

新車価格の高騰を受け中古機械市場が活況、新サービスも登場
数々の新製品が登場した展示会の一角では、“別の動き”もあった。それは、中古林業機械市場の盛り上がりを示すもの。背景には、半導体不足や部品の値上がりなどにより新車価格の高騰と納期遅延などがある。
中古林業機械でトップシェアを持つ富士岡山運搬機(株)(岡山県津山市)は、ネットオークションを初めて実施し、賑わいをみせた。担当者は、「ユーザーが希望する中古林業機械の価格感がわかった」と手応えを話す。

(株)レンタルのニッケン(東京都港区)と(株)アクティオ(中央区)も、同展示会で中古林業機械を初めて販売した。アクティオは、今年から中古林業機械販売を事業化しており、「注文があればレンタル機の中から条件を照らし合わせて販売している。今後も強化していきたい」と担当者は口にした。

会場内では、中古の建機やトラックなどが早々に「SOLDOUT!」(売約済み)となっていた一方、数年前から目立っていたドローンは出展数が片手で収まる程度に減少した。
代わって、これまでにないサービスや製品が登場してきており、KDDI(株)(東京都港区)は、日本初の衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」を展示した。米国のスペースX社が開発した衛星と直接通信でき、空さえ見えれば圏外ゼロを実現できる。使用料は、au回線ならば当面無料、他社回線利用の場合は3か月まで無料、4か月目以降は月額1,650円(税込)がかかる。
また、(株)橋本屋(東京都文京区)は環境配慮型燃料「ASPEN2」、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社(東京都千代田区)は森林ファンドなどについてPRし、新風を吹き込んだ。
(2025年10月5・6日取材)
『林政ニュース』編集部
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