(前編)国産材家具を進化させるプレステージジャパン【遠藤日雄のルポ&対論】

(前編)国産材家具を進化させるプレステージジャパン【遠藤日雄のルポ&対論】

国産材利用のパイプを太く、大きくしていくためには、産地(山元、生産者)と消費地(需要者、ユーザー)のニーズをマッチングさせることが不可欠だ。だが、産地の生産者は苦労してつくったものをできるだけ高く売りたいと考え、消費地のユーザーは欲しいものを可能な限り安く買いたいと求める。ときに利害が相反する両者の要求をともに満足させることは難しいが、国産材家具の分野でこの問題にいち早く取り組み、先駆的なビジネスモデルをつくりあげている企業がある。「TIME&STYLE(タイムアンドスタイル)」のブランド名でオリジナルデザインの家具やインテリア小物などを展開している(株)プレステージジャパン(東京都港区、吉田龍太郎・代表取締役)*1だ。同社は、2008年に北海道の東川町に工場を開設し、原木(丸太)の調達から加工、販売まで手がける一貫体制づくりに着手した。以降、工場の生産能力を高めながら製品アイテムを充実させており、販路は海外にも広がってきている。独自の成長軌道を描いている同社の事業戦略を知るために、遠藤日雄・NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長は、東京の六本木エリアにある「TIME&STYLE」の旗艦店に向かった。

消費トレンドの先端・東京ミッドタウンで道産材家具販売

遠藤理事長が訪ねたのは、東京ミッドタウン(東京都港区)の3階にある「TIME&STYLE」の店舗。広々とした空間にハイセンスな家具やテーブルウェアなどが展示されている。出迎えたのは、プレステージジャパンの小川彰・マネージャーと駒形麗子・広報マネージャー。遠藤理事長は、早速2人に問いかけた。

プレステージジャパンの駒形麗子氏(左)と小川彰氏
遠藤理事長

とてもモダンで洗練された空間だ。東京ミッドタウンは、現代の消費トレンドを敏...

遠藤日雄(えんどう・くさお)

NPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク理事長 1949(昭和24)年7月4日、北海道函館市生まれ。 九州大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士(九州大学)。専門は森林政策学。 農林水産省森林総合研究所東北支所・経営研究室長、同森林総合研究所(筑波研究学園都市)経営組織研究室長、(独)森林総合研究所・林業経営/政策研究領域チーム長、鹿児島大学教授を経て現在に至る。 2006年3月から隔週刊『林政ニュース』(日本林業調査会(J-FIC)発行)で「遠藤日雄のルポ&対論」を一度も休まず連載中。 『「第3次ウッドショック」は何をもたらしたのか』(全国林業改良普及協会発行)、『木づかい新時代』(日本林業調査会(J-FIC)発行)など著書多数。

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