稲城市に最大級の5階建て木造マンション 床組みにカラマツ2×10材やNLT使用

稲城市に最大級の5階建て木造マンション 床組みにカラマツ2×10材やNLT使用

三井ホーム(株)は、東京都稲城市で建設している国内最大級の木造マンション「稲城プロジェクト」(仮称)の構造見学会を7月7日に開催した。地上5階建てで、延床面積は3738.3m2。1階はRC(鉄筋コンクリート)造だが、2~5階は2×4(ツーバイフォー)(ツーバイフォー)工法の木造とし、最新の木質材料を利用することで、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。住戸タイプは、2LDKが48戸と3LDKが3戸。11月に竣工し、年明け1月から入居開始の予定。同社が7月に立ち上げたサステナブル木造マンションの新ブランド「MOCXION (モクシオン)」の第1号物件になる。

信州カラマツが使われた5階の床部分
表面に意匠をつけた信州カラマツのNLT

建設中の木造マンションでは、木材の用途を広げる様々な独自技術や工法が取り入れられている。5階の床組みには、信州カラマツを加工した2×10(ツーバイテン)材を国内で初めて採用。信州木材認証製品センター(長野市)が2×4建築物のオール国産材化を目指して開発した部材を用いた*1。同センターでは、国産2×10材について、9月にJAS申請する準備を進めている。

また、一部の床組みには、信州カラマツのNLT(ネイル・ラミネイテッド・ティンバー)を使用。NLTは、一般に流通している2×4工法用の構造用製材を釘で接合したもので、低コストで長尺のパネルなどがつくれる。2020年8月に日本ツーバイフォー建築協会がNLTの準耐火構造大臣認定を取得し、床や屋根に現(あらわ)しで使用することが可能になった。

このほか、三井不動産グループの保有林(北海道)から伐出されたカラマツを軒裏や内装材に用いて、国産材使用率を高めている。

独自開発した壁倍率30倍の高強度耐力壁など最新技術を活かす

5階程度の中層建築物を木造化する場合、構造性能や耐火基準を満たすために壁が厚くなることが課題になるが、建設中の木造マンションでは独自開発した高強度耐力壁「MOCX wall(モクスウォール)」(特許出願中)を使い、2×4工法では国内最高レベルの壁倍率30倍を実現。従来比で約半分の壁厚になり、土台や梁の本数が削減され、設計の自由度が向上した。

また、遮音性能を高める対策として、同社独自の「制振パッド」や「防振天井根太受金物」を採用している。

一連の技術開発などにより、建設時の二酸化炭素(CO2)排出量はRC造などに比べて大幅に削減され、「ZEH-M(Oriented)」認定を取得する予定。住宅性能表示制度における最高ランクの劣化対策等級3も取得しており、適切な維持管理を行えば75年~90年の耐久性が確保される物件となっている。

(2021年7月7日取材)

(トップ画像=建設中の木造マンションは京王相模原線の稲城駅から徒歩4分の好立地にある)

『林政ニュース』編集部

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