違法伐採木材の“締め出し”を目指しているクリーンウッド法(「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」)の見直しに向けた検討作業が進んできた。同法の施行状況などを検証してきた「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」(座長=立花敏・筑波大学生命環境系准教授)は、3月2日に最終会合を開いた後、政府が取り組むべき課題と今後の方向性に関する中間とりまとめを行った。
2017年に制定・施行された同法は、5年後の今年(2022年)をメドに実効性を高めるための「必要な措置」を講じることになっている。
流通初段階における合法性確認の「義務付け」も提案
同検討会は、同法の施行以降、木材の合法性に関する意識の高まりがアンケート調査などから確認できると一定の評価を与えた。その上で、木材関連事業者の登録件数が1万3,000件の目標に対して600件弱にとどまっていることなどをあげ、「(同法が)本来目指すべき姿からすれば十分とは言い難い」と改善を求めた。
同法の実効性を高めていくためには、合法木材のマーケットをつくり、参加する事業者の裾野を広げていくことが必要と提言。リスクの高い国・地域から輸入される木材に対して重点的にデュー・デリジェンス(DD)を行うなどメリハリのある対応を行うとともに、SDGsの目標12にある「つくる責任 つかう責任」の考え方を業界全体で共有していくことも重要とした。
とくに、輸入業者や原木市場、製材・合単板・チップ工場などの第1種木材関連事業者に対しては、木材流通の最初の段階に位置することから、「合法性の確認を義務付けるといった選択肢も考えられる」と提案。現在は同法の対象にはなっていない素材生産業者についても、「丸太を生産して譲り渡す際に明確な形で合法性を担保させるという選択肢も考えられる」として、積極的な関与を求めた。
EU、中国、豪州、ニュージーランドなども規制強化を検討
林野庁は、同検討会からの提言を受けて、法改正も含めた見直し作業を本格化させる段階に入る。提言内容は多岐にわたっており、運用改善や予算措置によって対応できるものもあるので、「課題を整理し、できるところから取り組んでいく」(木材利用課)方針だ。
海外でも違法伐採対策を強化する動きが目立ってきており、EUではデュー・デリジェンスの強化などを盛り込んだ新たな規則案が議論されている。豪州やニュージーランドも現行法の見直し作業に着手しており、中国でも違法伐採木材の輸入を規制する措置が検討されている。
クリーンな合法木材が“国際標準”となる中で、日本が出遅れることは許されない状況になってきている。
(2020年3月2日取材)
『林政ニュース』編集部
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