花粉対策実行段階、3月中に重点区域公表 苗木増産へ施設新設、「国産木材活用住宅ラベル」普及へ

花粉対策実行段階、3月中に重点区域公表 苗木増産へ施設新設、「国産木材活用住宅ラベル」普及へ

本格的な花粉シーズンの到来を目前にして、政府が講じている総合対策が実行段階に入ってきた。

岸田首相の鶴の一声で発足した「花粉症に関する関係閣僚会議」*1*2は、2月1日に持ち回り方式で4回目の会合を開き、昨年(2023年)10月に策定した「初期集中対応パッケージ」*3の進捗状況をチェックした。対策の目玉である「スギ人工林伐採重点区域」については、県庁所在地から50㎞圏内のまとまった人工林がある地域を複数指定するとし、都道府県と調整した上で3月までに具体的な区域を公表する。重点区域の合計面積は、全国のスギ人工林の約2割に相当すると見込んでいる。

林木育種センターでは原種増産施設の新設工事が進んでいる(2024年2月6日撮影)

スギの伐採・植え替え促進に向けた苗木の増産体制整備も進んできている。茨城県日立市の林木育種センターでは、今年度(2023年度)補正予算を活用して原種増産施設の新設工事が行われており、3月末までに2棟が完成する。来年度(2024年度)以降も、さらに増設して供給量を増やしていく計画だ。同施設から都道府県に花粉症対策苗木の原種が配布される流れとなっており、同センターの箕輪富男所長は、「都道府県からの要望も強いので、安定的な供給に努めていきたい」と話している。

伐採したスギ材の“出口”対策では、新たに立ち上げた「国産木材活用住宅ラベル」*4を普及させて需要を喚起することを目指している。ハウスメーカー関連団体などで組織している同ラベル協議会(会長=大橋好光・東京都市大学名誉教授)は、2月7日に専用のウェブサイトを公開した。国産木材を活用する意義などを解説した上で、「ラベルの使用規程」や「ラベル表示に関するガイドライン」を紹介しており、これから「よくある質問(FAQ)」を充実させながら、ラベルの利用を広く呼びかけていくことにしている。

(2024年2月6・7日取材)

(トップ画像=無花粉スギ品種「林育不稔1号」の種子、2024年2月6日撮影)

『林政ニュース』編集部

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