政府は、森林由来J-クレジット(森林クレジット)の利用を進めて地球温暖化対策を強化するため、現行制度を見直す案をまとめた。
森林クレジットの拡大は、昨年(2021年)10月に閣議決定された地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画などで重点課題に位置づけられている。だが、現行のJ-クレジット制度で認証された森林クレジットは、全認証量の2%未満にとどまっている。認証を取得するための手続きなどが複雑で普及が進んでいない側面があるため、方法論などを見直して使い勝手を高めることにした。
J-クレジット制度運営委員会の中に新設した森林小委員会が制度見直し案をまとめ、6月2日から15日までパブリック・コメントを行った。これを踏まえ、6月28日に開催する森林小委員会で制度文書等の改定案を決定し、正式な見直しにつなげる。
制度見直しで大きいのは、「再造林活動方法論」を新設すること。再造林によって炭素蓄積量が回復することを評価する仕組みを導入し、人工林の若返りを進めて、国全体の森林吸収量増大を目指す。
また、現行制度では主伐イコール排出計上となっていることを見直し、再造林を行った場合は吸収量としてカウントできるようにする。再造林支援に関する見直しは、京都議定書で定められた国際ルールよりも踏み込んだ内容となる。
このほか、森林管理プロジェクトの認証対象期間を原則8年間から最長16年間に延長して長期的な取り組みを後押しすることや、森林の保護活動が行われている天然生林を吸収量の算定対象に追加することも見直し案に盛り込んだ。
一方で、木材利用によって固定される炭素量を評価する仕組みについてはまだ結論が出ておらず、継続検討をしている。
(2022年6月18日取材)
『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。