最も注目されている米国南部、短伐期で高収益な林業を推進
米国とカナダを合わせた「北米」の面積は日本の約25倍と広大であり、豊富な森林資源をベースにダイナミックな林業・木材産業が展開されている。ただし、その内実は大きく変化してきている。
北米における森林資源の賦存量は、3つに大別される。すなわち、3分の1はカナダ(主としてBC(ブリテッシュ・コロンビア)州)にあり、2×4住宅部材になるSPF(Spruce、Pine、Fir)が主要樹種となっている。次に、米国西部のワシントン及びオレゴンの2州に3分の1が賦存しており、メインの樹種はダグラスファー(Douglas fir、ベイマツ)だ。そして、残りの3分の1は米国南部にあり、成長の早いサザンイエローパイン(Southern Yellow Pine、SYP)の人工林が広がっている(トップ画像参照)。
この中で、今、北米の木材企業などから最も熱い視線を浴びているのが米国南部だ。その魅力は潤沢に賦存するサザンイエローパインが短伐期で収穫でき、収益性の高い林業経営ができることにある。このため、カナダBC州や米国西部の木材企業が米国南部に進出し、既存の製材工場等を買収したり、新規に工場を開設するケースが目立ってきている。北米の“伐境”、つまり林業経営の最前線は、確実に南部に移行しつつある。