歩くだけで森林計測ができる「mapry LA03」本格販売

歩くだけで森林計測ができる「mapry LA03」本格販売

スマートフォンやタブレットで森林や立木などの調査やデータ解析を安価かつ手軽にできるアプリケーションソフト「mapry(マプリィ)」を提供している(株)マプリィ(兵庫県丹波市、山口圭司社長)は、歩くだけで森林計測を行える地上レーザ測量機「mapry LA03」を9月から本格販売している。

「LA03」は、約30分で1haの毎木調査ができ、地形や勾配データも取得し、境界明確化に役立つ現地の動画も同時に撮影する。データはUSBに保存するので、インターネットが通じない環境下でも使用できる。

重さは約2.5kgに抑え、バックパック型で背負って歩けるデザインになっている。本体価格は24万7,500円、アプリケーションの月額利用料は1万1,000円と、地上レーザ測量機の相場と比べて、価格を10分の1近くにしている。その理由について、同社の中村大知取締役は、「市販の部品と3Dプリンターなどを利用しているからだ」と説明している。

アプリ機能を進化させ、10月から雲南市で丸太のネット取引も

同社は、「mapry」の使い勝手を高めるためのバージョンアップも進めている。昨年(2022年)5月には測量データ解析等を本格的に行うPC版をリリースし、点群解析処理やオルソ画像の作成などのほか、25cmメッシュの地形図の作成、丸太の検収などもできるようにした。樹木解析では、樹高や直径、材積などに加えて、各立木の等級も表示できるようになっている。

同社は、立木のインターネット市場開設に向けた実証事業を進めており、島根県雲南市では丸太のネット取引などを試行することにしている。

雲南市は、昨年度末に「林業振興ビジョン」を策定し、森林資源情報の“見える化”や、木材流通拠点を活用したサプライチェーンプラットフォームの構築などに取り組んでいる。

その一環として、10月には、雲南市周辺の複数の森林組合が「mapry」で検収した丸太データを製材所に送って取引を始めることにしており、積荷時間の短縮と事務作業の効率化が図れる見通しだ。 同市林業振興課の担当者は、「ビジョン達成に向けこれまで以上に丸太を短期間で捌く必要がある。仕事のやり方を変え、作業効率を上げていくのに『mapry』はピッタリ。取引データを活かした販路拡大にも取り組みたい」と話している。

(2023年9月1日取材)

(トップ画像=地上レーザ測量機「mapry LA03」)

『林政ニュース』編集部

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