SBIR(中小企業イノベーション創出推進事業)に採択、年間1,000tの生産目指す
林野庁は、改質リグニンを本格的に商用利用するため、5年以内に年間1,000t程度の生産規模を目指す目標を打ち出している*3。この目標達成に向けた財源が確保されたことで、改質リグニンの社会実装が大きく前進する段階に入った。

愛媛県鬼北町に実証拠点、2027年度末までに大規模製造技術を確立
改質リグニンを使った製品は、石油プラスチック製品などに代替して脱炭素化に寄与できる。製造拠点をスギ林の多い山村地域に整備すれば、地域活性化にも貢献できる。
SBIRに採択された木質素研究所には、改質リグニンの開発者である森林総合研究所の山田竜彦・新素材研究拠点長が取締役として加わっており、これまで培ってきた知見をベースに量産化に挑む。

計画によると、2027度末までに改質リグニンの大規模製造技術を確立するため、愛媛県鬼北町に新工場(実証プラント)を建設する。新工場では、年間1,000tの改質リグニンを生産し、工程の合理化などを進めて同2,000tに増産することも目指す。
SBIR(Small/Startup Business Innovation Research)は、革新的な研究開発を行う中小企業(スタートアップ等)を支援する制度で、昨年度(2023年度)に行われた第1回公募では、(株)マプリィとelever labo合同会社が提案した自律型電動林業機械の開発事業が採択された(交付額は約7億7,000万円)。
第1回・第2回公募を通じて20億円を超える事業計画が採択されたのは5件だけ。木質素研究所の取り組みは、改質リグニン関係で国が支援する事業としては過去最大規模になる。
(2024年10月8日取材)
(トップ画像=自動車ボンネット・内装(ビュート)、画像提供:(国研)森林総研、(国研)産総研、(株)宮城化成、(株)光岡自動車)

『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から早くも31年目! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。