サミットに向けた大臣会合などで「持続的な木材利用」を強調

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サミットに向けた大臣会合などで「持続的な木材利用」を強調

5月19日から21日に広島県広島市で開催されるG7広島サミット(主要国首脳会議)に向けて、大臣レベルの会合が相次いで開催され、持続的な森林経営や木材利用に関する言及も目立っている。

4月15・16日に北海道札幌市で行われた気候・エネルギー・環境大臣会合のコミュニケ(声明文)では、「森林をはじめとする陸域生態系の保全とその回復を加速させるとともに、違法伐採を含む持続可能な森林経営と木材利用の促進にコミットし、関連国際機関と協働する」(要旨)ことが明記された。

また、4月22・23日に宮崎県宮崎市で開かれた農業大臣会合では「宮崎アクション」が採択され、食料安全保障の強化とともに、「木材やその他産品のための持続可能な森林経営」の重要性が確認された。

4月21日には農業大臣会合のサイドイベントとして、「持続可能な木材利用によるネット・ゼロ及び循環経済の実現に向けて」が行われ、宮崎市の会場に約90名、オンラインで約370名が参加した。基調講演では米国イェール大学教授のアラン・オルガンスキ氏が「気候変動対策における森林・林産物の役割」について講演し、「人間の活動で排出される二酸化炭素(CO2)のうち約40%は建設需要に伴う。2050年には国際的な建設需要は約2倍になるため、持続可能な森林経営から得られた木材利用に転換することは、ネット・ゼロ及び循環型経済の実現に貢献する」と強調した。

続いて、4月24日にはオルガンスキ氏を交えて、意見交換会「木造化でつながる都市と農山村」をオンラインで実施。林野庁、環境省、国土交通省の担当官と、大手ゼネコンなどの民間事業者、森林総合研究所の研究者ら産官学のメンバーが一堂に会した。

今後は、G7広島サミットで採択される首脳コミュニケに「持続可能な木材利用」が明記されるかが焦点になる。

(2023年4月21日取材)

(トップ画像=4月21日の農業大臣会合サイドイベントで意見を述べる米国イェール大学教授のアラン・オルガンスキ氏)

『林政ニュース』編集部

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