中国木材が八代市に進出、玉名製材と連携  木材コンビナートを整備し2029年の稼働開始目指す

中国木材が八代市に進出、玉名製材と連携  木材コンビナートを整備し2029年の稼働開始目指す

国内製材最大手の中国木材(株)(広島県呉市、堀川保彦社長)が熊本県八代市に進出し、同県の玉名製材(株)(熊本県玉名郡和泉町、大石彰社長)とともに木材コンビナートを整備する計画が明らかになった。中国木材は、宮崎県日向市で日向工場、佐賀県伊万里市で伊万里工場(伊万里事業所)を稼働させており、九州地方では3つめの国産材加工拠点となる。

覚書調印式に出席した(左から)石橋正浩・中国木材取締役、大石彰・玉名製材社長、福島誠治・八代市副市長

2月13日に中国木材と玉名製材及び八代市の3者で企業立地に向けた覚書を締結した。事業計画によると、約320億円(土地取得費は除く)を投資して、製材工場、集成材工場、木質バイオマス発電所を建設するとともに、木材乾燥設備、選木機・原木ヤード、天然乾燥土場などを整備する。年間の原木使用量は約12万m3、木質バイオマス発電の出力規模は1万kWを想定している。

今後、2026年に用地を取得して企業立地協定を結び、翌27年から造成を行い、29年に製材工場、30年に集成材工場と木質バイオマス発電所を稼働させる予定。新たな木材コンビナートが立ち上がることで、250名程度の新規雇用が生まれ、このうち210名程度は地元から採用することを見込んでいる。

主伐可能面積約17万ha、50km圏内で集材、海外輸出も視野

中国木材は、年間原木消費量が60万m3を上回る宮崎県の日向工場を量産型国産材加工拠点のモデルに位置づけており、秋田県能代市でも2024年の稼働開始に向けて新工場の建設を進めている。日向工場、能代工場ともに、製材・集成材などの加工・販売事業と木質バイオマス発電事業などを一体化させ、A材からD材までを有効活用しながら“規模のメリット”を追求する戦略をとっており、八代市でも同様のコンセプトにより木材コンビナートの整備が進むとみられる。

中国木材は、八代市への進出を決めた理由として、①熊本県は46年生以上の主伐可能面積が約17万haと宮崎県に次ぐ豊富な森林資源がある、②九州で稼働・計画されている大型工場と集材エリアが重複せず、八代市を中心とした50km圏内で原木を調達できる(参照)、③八代港は港湾施設が整備されており、木材製品の輸出拠点になり得る――などをあげている。

共同事業体となる玉名製材は、集成材用ラミナなどを生産しており、中国木材の伊万里工場などに納めてきた実績がある。1976年の創業から50年近くとなり、時代に合わせた事業展開を図るため、中国木材との“協業”に踏み出すかたちとなった。

(2023年2月13日取材)

(トップ画像=中国木材が八代市で計画している木材コンビナートの全体イメージ、画像提供:中国木材)

『林政ニュース』編集部

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