ヨーロッパで普及しているクロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT)を国内で開発・実用化することを目指し「日本CLT協会」が発足した。立ち上げたのは、銘建工業(株)(岡山県)、山佐木材(株)(鹿児島県)、協同組合レングス(鳥取県)の3社。今年1月19 日に任意団体として設立、3 月29 日に東京都内で第1回総会を開催した。会長には銘建工業の中島浩一郎社長、副会長には山佐木材の佐々木幸久社長が就任。本部(事務局)は、銘建工業(株)内に置く。
CLTは、ヨーロッパで1990年代に開発され、最近になって急速に市場規模を拡大、現在は年間40万m3以上が生産されている。また、北米でも昨年末にCLTに関する規格が制定され、チリやニュージーランドでも普及する兆しが出ている。中島会長は総会後の記者会見で、「海外のスピードに少しでも追いついていかなければならない」と危機感を示した。
国内ではCLTを使用できる法的裏づけが整っていないため、同協会としては「当面、2年以内にJAS規格の認定材料にすることに全力を注ぐ」(中島会長)方針。その後、建築基準法の見直しにも取り組んでいく。
CLTについては海外メーカーの供給力が強く、日本市場が“開放”されると国産製品が劣勢に立たされることも予想されるが、「むしろ木造のパイを広げていくことが重要」(同)であり、とくに非住宅分野のマーケットを開拓していくことが優先されるとの認識を示した。また、「国産集成材は、海外製品と比べて品質・価格ともにひけをとらなくなっている」(同)とも指摘、スギやヒノキ、カラマツなどを有効活用したCLTの開発が重要になるとした。
(2012年3月29日取材)
(トップ画像=記者会見で抱負を語る(右から)中島会長、佐々木副会長と理事の中西・協同組合レングス代表)
『林政ニュース』編集部
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