今年度(2025年度)中に公募準備を終え、ニーズの掘り起こしへ
新たな「立木システム販売」は、大口需要などに対応する樹木採取権と一般的な立木販売の中間規模を埋める仕組みとして創設する。

大型木材加工工場の整備や新規需要の創出などを要件とする樹木採取権は、前年度(2024年度)末時点で全国8か所に設けられている。樹木採取権の追加公募と審査・設定は今年度も3か所で行う予定だが、樹木採取権よりは小ぶりな規模で複数年にわたって主伐・再造林等が行える事業区域をつくって、林業経営体の多様なニーズに応えることにした。具体的な事業実施期間は5年、対象面積は50~75haを想定しており、今年度中に公募準備を終え、来年度(2026年度)から募集を始める。併行して、マーケットサウンディングなど木材需要動向に関する調査を継続し、国有林材に対するニーズの掘り起こしを図る。
立木販売の落札率アップが課題、生物多様性に配慮した施業を率先
林野庁が国有林で今年度に計画している主要事業量は表のとおりで、立木と素材(丸太)の販売量は前年度を若干上回る数量を予定している。ただし、立木販売については落札率が3割程度にとどまっているため、有識者らで構成する「国有林材供給調整検討委員会」の意見などを踏まえながら適時適切な販売に努め、落札率のアップを目指す。とくに、素材販売量(349万m3)の約64%にあたる224万m3は協定工場等に直送する「システム販売」で供給し、国有林材販売収入の安定的な確保につなげる。

森林づくりに関しては、国内外で関心が高まっている生物多様性に配慮した森林施業に率先して取り組む。林野庁は、国有林で実施した森林施業の参考事例集をインターネット上で公表しており、これをもとに民有林への普及も進めることにしている。
「国有林野の森林施業における生物多様性への配慮事例」のサイトは、こちら
(2025年4月25日取材)
(トップ画像=「国有林野の森林施業における生物多様性への配慮事例」のイメージ)
『林政ニュース』編集部
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