森林測量とデータ管理の効率化をサポートする(株)ジツタ【企業探訪】

森林測量とデータ管理の効率化をサポートする(株)ジツタ【企業探訪】

森林測量管理システム「Assist(アシスト)」シリーズなどを販売している(株)ジツタ(山内延恭社長)が6月1日・2日に愛媛県松山市の本社で「ジツタエキスポ」を開催し、約360人が来場した。同社は、1946年に建設分野の測量機器の卸売業として発足し、23年前に森林測量分野に参入。「スマート林業」を牽引する企業として存在感を高めている。

広域で膨大なデータを一括処理、帳票作成などの手間を軽減

ジツタの社員は45名。2020年度の売上高は約23億円で、その約2割が森林測量分野となっている。

主力製品である「Assist」シリーズは、森林の調査や管理に必要な作業や手間を軽減して効率化するために開発した。

ベーシックソフトである「Assist8」は、森林に関する広域で膨大なデータを高速エンジンで処理し、2D(2次元)表示する。GIS機能を搭載しており、コンパス測量とGNSS測量データの混合処理や、森林簿データなどとのリンク付けが可能。地形情報や樹種、施業履歴などの必要な情報を一括して確認できる。ライセンス方式で導入でき、費用は5年間で120万円から180万円となっている。

「Assist8」と「AssistZ」を連動させると2D&3D表示で現場を自在に確認できる

同社は、「Assist8」とともに、現地調査をサポートするソフト「ARUQ(アルク)」も販売している。「ARUQ」をタブレット端末などにインストールすれば、測量結果をスムーズに「Assist8」に反映でき、野帳データの作成作業などが軽減できる。操作は、画面上のアイコンをタップするだけなので簡単。目的地点に迷わず行けるナビゲーション機能も備えている。

3D表示の「AssistZ」なども加わり、現場を支える

同社は、「Assist」シリーズに逐次改良を加えており、ドローンや航空レーザ測量など上空から得られるデータを処理して3D(3次元)表示する「AssistZ」も製品化している。

「AssistZ」では、点群データから樹木の頂点を抽出し、樹高や立木本数、樹冠面積などを自動計算する。集計結果は、エクセル形式の材積計算帳票に出力できる。また、地盤データを取り込めば路網の設計がシミュレーションでき、傾斜地の水流を可視化して作業道の排水処置や災害対策などに応用することも可能だ。

同社が「ジツタエキスポ」で「Assist」シリーズを披露した際には、森林経営管理制度に対応する機能を拡充していることを強調した。所有者への意向調査から経営管理集積計画の作成、民間業者の選定、配分計画の立案までの業務を一気通貫でサポートでき、森林のゾーニングや収益計算などにも応用できる。

参加者からは、「行政事務が効率化できるのなら導入してみたい」との反応があり、久万高原町などでは本格利用に向けた検討が始まっている。

すでに全国の森林組合の約8割が何らかのかたちで「Assist」シリーズを利用しており、担当者は、「理想の仕事を明確にして開発に取り組むようにしている」と基本姿勢を口にする。

同社は、「Assist」シリーズのほかにも、AI(人工知能)のディープラーニングを利用したソフト「木材検収システム」も販売しており、“現場を支える”製品群が充実してきている。山内延恭社長は、「ICT(情報通信技術)を活用すれば若手職員でも即戦力となって活躍できる。明確な成果が出れば、仕事の励みになって人材の定着につながる。新しい技術を積極的に取り入れながら林業を支えていきたい」と意欲をみせている。

(トップ画像=「Assist8」で意向調査対象森林を表示した画面)

『林政ニュース』編集部

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