森林総合研究所と岐阜大学の研究グループは、国内のスギ人工林による年間炭素吸収量に関する将来予測を行い、2050年の年間炭素吸収量は2010年に比べ減少するという結果を得た(2月27日に発表)。ただし、地域の特徴を踏まえた森林管理を行うことによって減少幅は小さくでき、スギを含めた約1,000万haの人工林は、炭素吸収能力が落ちても「ネット・ゼロ社会」の実現に貢献できるとしている。
研究グループは、国内のスギ人工林が1年間に大気中から吸収する炭素量をシミュレーションモデルにより予測した。
その際、気候変動と人工林の伐採(収穫)及び再造林の程度が異なる8つのシナリオを設定して計算等を行い、すべてのシナリオで2050年の年間炭素吸収量は2010年よりも減少するという結果となった。
減少の理由として、伐採後に再造林が進まずに広葉樹林に置き換わることと、伐採せずに残った人工林が高齢化することの影響が大きいとしている。
対応策として、西日本では伐採・再造林を積極的に行い、東日本では長伐期化を目指すことで、年間炭素吸収量の減少幅を抑えられるとの見方を示している。
(2025年2月27日取材)

『林政ニュース』編集部
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