京北の「樹々の会」がクロモジのお香を新発売 老舗メーカーとコラボし、商品群が拡充

高級爪楊枝(つまようじ)の原料にもなるクロモジを使った「お香」が商品化され、6月4日に京都府京北地域の道の駅・ウッディー京北でデビューを果たした。企画・販売しているのは、同地域の女性林業グループ「樹々(じゅじゅ)の会」(京都市右京区、一瀬裕子会長)。

新発売されたクロモジのお香の商品名は「しんしん香」。1セット12本入りで880円(税込み)。老舗お香メーカーの(株)松栄堂(京都市中京区、畑正高社長)と連携して製造・販売している。樹々の会の一瀬会長は、「クロモジの香りをかいで心が安らいでほしい」と話している。

しんしん香

樹々の会は、お香以外にもクロモジを使った商品「しんしん(身心)」シリーズを展開しており、ティーバッグ、のど飴、入浴剤、パウダー、ほうじ茶、茎茶、干しおかきを、ウッディー京北でいずれも1個350円(税込み)で販売している。

クロモジのパウダーを混ぜたソフトクリームは、ウッディー京北の人気商品となっており、クロモジのほうじ茶や茎茶も口にすると特有の清涼感ある味わいが広がり、気分がリラックスする。ウッディー京北の担当者によると、リピート購入する消費者も増えている。

葉と茎、枝だけを使い持続性確保、続ける秘訣は新しい挑戦

樹々の会は、1999年に施行された男女共同参画社会基本法をきっかけにして発足した。一瀬会長(80歳)は、「山の現場で活躍できるのは男性だけではない。女性も地域の森を守るためにできることをしたいという思いで立ち上がった」と振り返る。同会のメンバーは、京北地域の60歳代から80歳代の27名の女性で構成されており、年間約200日活動している。

発足当初は勉強会などを中心に活動していたが、徐々にマイタケの生産・販売など、森の恵みを活かした商品を手がけるようになり、2016年からはクロモジを活かした「しんしん」シリーズの製造・販売事業を本格化させている。

原料のクロモジは、新芽が出る5月から6月にかけて1年間分を収穫し、窒素ガスでドライ加工して保存、時期に応じて利用している。「しんしん」シリーズは、クロモジの葉と茎、枝だけを使っており、幹や根などは一切使用しない。その理由について、一瀬会長は、「根まで取ってしまうと、次の年にクロモジがとれなくなってしまう。ずっと使い続けられる持続的な仕組みが大事や」と説明する。

一瀬裕子会長、地域材を活かしたペンションも経営している

樹々の会は、今年度(2021年度)の緑化推進内閣総理大臣賞を受賞したほか、2019年度には総務省のふるさとづくり大賞で団体賞を受賞するなど、意欲的な活動ぶりが各方面から高く評価されている。

一瀬会長は、「次から次へと新しいことに挑戦するのが会を続ける秘訣」と口にし、新たなチャレンジとして、「クロモジのお菓子などを生産する調理場の開設に向けて動いている」と意欲をみせている。

(トップ画像=ウッディー京北で展示・販売されているクロモジ商品)

『林政ニュース』編集部

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