工場火災が頻発している木材産業の実態に関する初めてのアンケート調査が行われた。林野庁が昨年(2024年)8月から9月にかけて全国の製材工場などを対象に実施したもので、火災対策の強化が急務であることが明らかになった。
木材産業では毎年約100件の火災が発生しており、1,000事業所当たりの発生件数は製造業全体の1.8倍、火災保険料率は全工場物件の4.4倍と高水準になっている。焼損床面積も他産業の工場・作業場の5.0倍と大きく、一度火災が起きると被害が大きくなる傾向にある。
アンケート調査では、74の製材工場等から回答があり、約半数の36工場が「過去5年間に火災経験あり」と答えた。出火場所のトップは加工機械(29%)で、集じん機(19%)、サイロ(14%)が続き、出火原因は、機械の摩擦熱(34%)、集じん機(26%)、電気器具・装置(13%)、乾燥機(9%)など機械関係が多かった。
消火方法は、消火器(75%)と消防車の出動(50%)の割合が高く、消火栓(28%)、水バケツ(25%)などの使用比率は低かった。
火災対策設備の設置割合では、消火器(99%)と火災感知器(81%)は高かったが、防火水槽(42%)、屋内消火栓(42%)、屋外消火栓(35%)、火花探知機(19%)は低く、スプリンクラーは3%にとどまった。
重点課題は、出火防止、早期発見、初期消火の3つ

林野庁は、アンケート結果を踏まえて工場火災対策の強化を呼びかけており、とくに、①出火防止、②早期発見、③初期消火の3つを重点課題にあげている。
①出火防止では、徹底的な掃除と機械や電気配線・コンセントの定期的な保守点検、②早期発見では、低コストで導入が容易な「熱感知器」が約半数(54%)を占めている現状から感度の高い煙感知器や炎感知器への切り替え、③初期消火に関しては、定期的な消火訓練の実施や水バケツの設置、対応マニュアルの作成と周知などが必要としている。
(2025年1月6日取材)
(トップ画像=木材産業における工場火災の現状)

『林政ニュース』編集部
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