「10年間で1億本」目標に国民運動展開へ 「脱炭素社会」実現に貢献、募金を強化

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林野庁は、「2050年カーボンニュートラル」の達成に向けて、10年間で1億本の植樹を目指す国民運動を展開することにした。二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の働きを植樹活動を通じて広く訴えるとともに、企業等を中心に資金協力を求めて脱炭素社会の実現に貢献することを目指す。

6月中旬に閣議決定予定の新しい森林・林業基本計画の中に、「10年間で1億本植樹を目指して国民運動を展開していく」と明記する。

多様な主体による植樹など森林づくり活動の促進に向けては、企業・NPO等のネットワーク化、全国植樹祭等の緑化行事の開催を通じた普及啓発活動の促進に努める。また、国有林におけるフィールドや情報の提供、技術指導等を推進する。これら取組や森林整備の推進等により、10年間で1億本植樹を目指して国民運動を展開していく。

新しい「森林・林業基本計画」の「国民参加の森林づくり」に関する記述(抜粋)

菅首相は、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を内外に宣言している。5月26日に全会一致で成立した改正地球温暖化対策推進法では、「2050年までの脱炭素社会の実現」を基本理念に据え、政府目標としての法的な裏付けを与えた。

これまでも国土緑化推進機構等が主体となって「国民参加の森林づくり」が行われてきているが、地球温暖化対策の強化が急務になっていることを踏まえ、「10年間で1億本」という具体的な数値目標を示して国民に幅広く協力を求めることにした。

植樹運動に必要な資金は、「緑の募金」を中心にして確保していく方針。毎年春と秋に行われている「緑の募金」は、2010年に約25億3,000万円を記録してから集金額が伸び悩んでおり、現状は18~19億円で推移している。人口減少やキャッシュレス社会の到来など社会経済状況が大きく変わってきている中では、新たな募金手法の検討も必要になる。とくに、企業の環境貢献度を評価するESG投資やSDGs(持続可能な開発目標)の達成などが“国際標準”となっており*1、「10年間で1億本」運動に拠出する意義をわかりやすく伝える“出口づくり”が課題になるとみられる。

『林政ニュース』編集部

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