全国初、旧三江線の線路敷を使い丸太を搬出

全国初、旧三江線の線路敷を使い丸太を搬出

島根県美郷町内にある旧(さん)(こう)(せん)の線路敷を使って丸太(原木)を搬出する全国初の実証実験が11月29日に行われた。路網や架線に代わる新たな丸太輸送手段として、実用化が期待されている。

美里町とJR西日本が鉄道林で実証実験

実証実験を行ったのは、美郷町と西日本旅客鉄道(株)(JR西日本)。両者は5月24日に森林再生実証実験に取り組むことを発表し、広島大学、鳥取大学、邑智郡森林組合と連携して、①線路敷を活用した木材搬出技術の実証・評価、②周辺の森林資源活用の可能性評価、③野生動物対策を考慮した再造林計画の検討──などに取り組み、来年(2025年)3月末までに一定の評価を行うスケジュールを示した。

実証実験の実施体制

実証実験の対象地は、美郷町乙原にあるJR西日本の所有林(鉄道林)。面積は約5.8haで、約50年生のスギ・ヒノキが生育しており、旧三江線の線路敷が残っている。この人工林からハーベスタで伐出したスギ・ヒノキ約400m3を11月29日にフォワーダに積み込み、線路敷を約200m走行した。線路敷の枕木などは撤去されずに列車運行時のままであったため、フォワーダの走行で轍ができるのを防ぎ、路盤流出の抑制を図られた。

フォワーダの走行状態を確認する関係者

JR西日本の担当者は、「初めての取り組みだったが、森林組合の方々も線路敷を活用した施業の有用性を感じているようだった」と話し、「今回の実証実験を通じて森林施業に線路敷を活用することの有用性が証明できれば、さらなる取り組みを展開していきたい」としている。

旧三江線沿線には、鉄道林のほかに公有林や民有林もあり、所有者との調整が進めば、線路敷を使った丸太搬出のペースや量を増やせる可能性がある。線路敷の再利用が進むことで、都市部と中山間地域の交流活性化につながるともみられている。

(2024年11月29日取材)

(トップ画像=丸太を積んで線路敷を走行するフォワーダ)

『林政ニュース』編集部

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