森林環境譲与税の活用促進策を検討している自民党の「地球温暖化防止のための森林吸収源対策プロジェクトチーム」(江藤拓委員長、進藤金日子事務局長)は、現行の配分基準見直しを含めた「提言」をまとめ、5月31日に金子農相に手渡した。
譲与税は、2019年度と翌20年度で約500億円が市町村に配分されたが、森林整備費等に充てられたのは約228億円で、約272億円は基金に積み立てられている。配分額の過半が使われていない状況が続くと、2024年度からの徴税開始に対する国民の理解が得られないとして、自民党プロジェクトチームは市町村等からのヒアリングを重ねながら対策を議論してきた。
森林の多い市町村への配分増額へ、支援強化を求める
検討成果をまとめた「提言」では、「森林が多い山間の市町村に譲与税の配分を抜本的に強化するなど、譲与基準の在り方について検討すること」を課題にあげた。現在は「私有林人工林面積5割:林業就業者数2割:人口3割」の基準で配分額を計算しているが、人口の多い都市部が有利になるとの指摘が出ている。「提言」がこの点に踏み込んだことにより、年末の来年度(2023年度)税制改正などで基準見直しが議論される可能性が出てきた。
このほか「提言」は、譲与税の使途を具体的に整理したポジティブリストを作成して市町村に示し、相談窓口を設置することや、国と都道府県が連携して市町村職員の研修を行うなど、支援体制を強化することも求めている。
(2022年5月31日取材)
(トップ画像=金子農相に提言書を渡す自民党プロジェクトチームのメンバー)
『林政ニュース』編集部
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