北海道滝上町で育苗業を営んでいる(有)岸苗畑(岸紘治社長)は、カラマツやトドマツ、クリーンラーチなどの苗木を年間約28万本生産している。道内トップクラスの技術力を有し、全国的にみても一頭地を抜く存在だ。
同社を率いる岸紘治社長(79歳)は、2016年から全国山林種苗協同組合連合会の会長を4年間つとめた。そのキャラクターを一言で表わすと、「チャレンジ精神旺盛」。
業界の先頭を切ってコンテナ苗の生産を始め、グイマツとカラマツを交配させたクリーンラーチの生産にもいち早く着手した。
道立林業試験場が開発したクリーンラーチは、成長がよく、ネズミの食害に強く、強度が高い。約20年間をかけて育ててきた岸社長は、「クリーンラーチが植林された後の成果までしっかり見届けたい」と強い思い入れを話す。
試行錯誤を重ねてエゾマツの栽培に成功し「来秋出荷できる」
岸苗畑では、エゾマツの苗木栽培にも取り組んでいる。エゾマツは湿度が高い環境を好み、病虫害の影響も受けやすいため、苗木づくりは難しい。
岸社長らは、3年前にエゾマツの種子を採取し、栽培実験を繰り返してきた。1年目の成長は10cmの苗もあったが、温度や湿度などの条件を変えて試行錯誤を重ね、遂に栽培に成功。「来年秋以降は出荷できる」との見通しがついた。今後に向けて岸社長は、「苗木の通年栽培体制を構築し、1年で出荷できるような苗木を育てる」と自信の笑みを浮かべている。
(2024年7月26日取材)
(トップ画像=エゾマツの苗木)
『林政ニュース』編集部
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