住友林業が森林経営計画大臣認定書を偽造約4万8千haに及ぶ不正発覚、刑法違反

住友林業が森林経営計画大臣認定書を偽造約4万8千haに及ぶ不正発覚、刑法違反

住宅建築や木材・建材の加工・流通・販売、コンサルティングなど幅広い事業を展開している住友林業(株)(東京都千代田区、光吉敏郎・代表取締役社長)が森林経営計画の変更時に必要な大臣認定書を無断で作成していたことがわかった。大臣認定書は公文書(無印公文書)にあたり、偽造・行使した場合は刑法第155条・第158条に基づいて罰せられる(懲役刑)。同社は国内最大規模の約4万6,000haの社有林に加えて、約2,000haの委託林を経営・管理している。計約4万8,000haに及ぶ広大な森林を対象にした大臣認定書の偽造と行使は、「かつてないこと」(林野庁森林整備部)であり、原因の究明と再発防止策を講じることが喫緊の課題となっている。

森林経営計画は、「森林所有者」または「森林経営の委託を受けた者」(受託者)が作成でき、認定されると、税制や補助、融資などの優遇措置が受けられる。対象とする森林が同一の市町村内にある場合は市町村長、同一の都道府県内で2つ以上の市町村にまたがる場合は都道府県知事、複数の都道府県にまたがる場合は農林水産大臣の認定が必要で、計画期間は5年間となっている。

同社の対象森林は17道県に及んでおり、計画内容の変更にあたっては大臣認定が必要だったが、その過程で公文書の偽造・行使という不正が行われた。

組織風土に問題はなかったか、待たれる原因究明と再発防止策

住友林業は、1月26日にウェブサイトで不正行為があったことを公表。担当者は退職処分とし、資料等の確認調査が終了するまでは、森林経営計画に基づく今年度(2023年度)の施業を中断する方針を示した。

同社の光吉社長は、2月15日に東京都内の本社で行った2023年12月期決算説明会の中でこの問題に触れ、「昨年末に不正が行われていたことが発覚した。1月からは自社と受託している森林のオペレーションは全部止めて、詳細な調査を行っている」と報告、「行政(林野庁)のご指導もいただきながら可及的速やかに再発防止策を公表したい」と述べた。

一方、林野庁幹部は、「公文書の偽造は元職員の個人的な行為だったかもしれないが、仕事の進め方や組織風土に問題はなかったのか。原因究明の深堀りと再発防止の徹底を求めたい」と話しており、文書偽造が行われた動機や背景を早急に明らかにすることが焦点になっている。

同社が不正行為の発生を公表してから、早くも1か月が過ぎようとしており、「可及的速やかに」が意味するスピード感が問われる段階に入ってきている。

(2024年2月15日取材)

(トップ画像=2月15日に住友林業本社で開いた2023年12月期決算発表・決算説明会の中で不正事案の経緯などについて述べる光吉敏郎社長)

『林政ニュース』編集部

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