滋賀県(三日月大造知事)は、9月3日に東レ建設(株)(大阪府大阪市、古川正人社長)と都市(まち)の木造化推進法に基づく建築物木材利用促進協定を締結した。同県が民間企業と同協定を結んだのは2件目。第1号協定は、昨年(2023年)11月9日に(株)たねや(滋賀県近江八幡市、山本昌仁社長)と締結している。
東レ建設は、大手繊維・化学メーカーの東レ(株)のグループ企業で、マンション・住宅の建設・分譲や不動産事業などを手がけている。1926年に東洋レーヨン(株)として発足した東レの創業地は滋賀工場(現・滋賀事業場)であり、同県とのつながりは深い。
協定締結のきっかけとなったのは、2022年度に同県が開催した木造建築セミナーに東レ建設の社員(1級建築士)が参加したこと。セミナー修了後も県内の建築士や林業・木材産業関係者との交流が続き、社を挙げてびわ湖材をはじめとした国産材の利用拡大に取り組むことにした。

東レ建設は、2021年から京都大学や(株)市浦ハウジング&プランニング、西松建設(株)などと連携して10階建ての木造ビルを可能にするP&UA構法の開発を進めており、すでに日本建築センターの個別評定を取得している。 協定締結式で挨拶した古川社長は、「樹種の拡大や炭素繊維といった東レの先端素材との融合も視野に入れてP&UA構法を進化させていく」と抱負を述べ、三日月知事も、「県内の森林は伐期を迎えており、使っていただく方と連携して、伐って使ってまた植えるという循環をつくっていきたい。この協定をゴールではなくスタートにしたい」と意欲を語った。
(2024年9月3日取材)
(トップ画像=協定書を手にする滋賀県の三日月知事(右)と東レ建設の古川社長)

『林政ニュース』編集部
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