国と企業等との建築物木材利用促進協定締結数が25件に達する

国と企業等との建築物木材利用促進協定締結数が25件に達する

昨年(2024年)末に、国と民間企業等との建築物木材利用促進協定締結数が累計で25件に達した。

ただし、担当の林野庁木材利用課によると、昨年は10件の協定が結ばれたのに対し、「今年(2025年)の締結案件はまだ調整中」(1月17日時点)という状況。今後に向けて、「鉄道や航空などの交通系企業やエネルギー関連企業、大手小売り企業なども積極的に木材を利用し始めているので、協定のメリットを伝えながらマッチングを進めていきたい」としている。

大和ハウス工業、鹿島建設も農林水産省と協定を結ぶ

昨年12月17日に大和ハウス工業(株)(大阪府大阪市)、続いて12月24日には、鹿島建設(株)(東京都港区)及び(株)かたばみ(同)が農林水産省との間でそれぞれ協定を結んだ。

大和ハウス工業は、1959年に日本初のプレハブ住宅「ミゼットハウス」を世に送り出したことで知られる。創業者の石橋信夫氏は、奈良県川上村で生まれ営林署や木材会社に勤めた後、戦後の住宅需要に応えるべく鉄骨のプレハブ住宅を開発した。

吉野林業地にルーツを持つ同社は、2022年からの中期経営計画で、新たな重点領域の1つに「木造・木質建材事業」を位置づけている。2023年に非住宅の木造化・木質化推進プロジェクト「Future with Wood」を立ち上げ、昨年4月には準備室を設置、約30名を配置して体制を整えている。

同社が国と取り交わした協定では、今後5年間で木造・木質化する建築物の総床面積を倍増させ、木造建築でもBIMを活用してバリューチェーン全体でのデータの一元管理化などによる生産性向上、住宅・非住宅での木材の積極的活用などに取り組むとした。

大友浩嗣・大和ハウス工業専務執行役員

同社の大友浩嗣・専務執行役員は、「非住宅の木造建築物に対する引き合いが全国から強く寄せられており、すでに10数棟のプロジェクトが進んでいる。今後は鉄骨との混構造も含め木造・木質化を推進していく」と話しており、必要な人材は、「M&A等を通じて確保していく」との方針を口にした。

2024年12月24日の協定式に出席した(左から)髙野博信・かたばみ代表取締役社長、市橋克典・鹿島建設専務執行役員開発事業本部長、滝波宏文・農林水産副大臣、青山豊久・林野庁長官

また、鹿島建設は、木造・木質化を推進するため、①施工支援部署に専任担当を設け全国の施工案件の支援を行う、②木の制震技術や難燃処理技術を開発する──ことなどを協定に盛り込んだほか、かたばみが所有する森林(グループ山林)をフィールドにしてICT技術を活用したサプライチェーンを構築する計画も明らかにした。

(2025年12月17・24日取材)

(トップ画像=協定を取り交わした大和ハウス工業の大友浩嗣・取締役専務執行役員(左)と青山豊久・林野庁長官)

『林政ニュース』編集部

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