南国市に全国初のCLTガソリンスタンド 地元のスギを活用、出光興産が全国展開へ

四国地方 高知県 集成材・CLT

南国市に全国初のCLTガソリンスタンド 地元のスギを活用、出光興産が全国展開へ

石油元売り大手の出光興産(株)(東京都千代田区、木藤俊一社長)は、国産材を活用したガソリンスタンド(サービスステーション=SS)を全国各地に建設するプロジェクトを始めた。第1号店として高知県南国市にスギCLTを使った「セルフ南国バイパスSS」が11月7日にオープン。続いて、11月14日には兵庫県神戸市に第2号店、12月下旬には埼玉県飯能市に第3号店が竣工する予定。建て替え期を迎えているガソリンスタンドを中心に、「国産材による木造化を全国展開していきたい」(本社販売部担当者)としている。

同社は、木質バイオマス発電事業を行っている土佐グリーンパワー(株)(高知市)に出資しており、山口県の周南市では早生樹の育成に取り組むなど、「森林関連ビジネスで地域に貢献する」(同)方針を打ち出している。

南国市の第1号店は、建物をCLTパネル工法でつくりキャノピー(屋根)にもCLTを採用した。木造のガソリンスタンドは2016年に大分県日田市で建設された事例があるが、CLTを全面的に採用したのは全国初。

危険物を取り扱うガソリンスタンドを木造化する際には、消防法などの規制をクリアする必要があり、建物の壁や軒下、キャノピーの天井面などに用いたCLTに不燃処理を施すなど独自の工夫を加えた。CLTの加工等は銘建工業(株)(岡山県真庭市)が行った。

第1号店では87.3m3のスギを使用しており、約75m3が高知県産となっている。CLTを活用して“木のガソリンスタンド”としたことで、建設時に約71tの二酸化炭素(CO2)を削減したことに加え、約64tのCO2を固定できると試算されている。

(2022年11月7日取材)

(トップ画像=スギCLTで新設した「セルフ南国バイパスSS(サービスステーション)」)

『林政ニュース』編集部

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