市町村の譲与税活用率が92%に上昇の見込み 

全国 森林経営・管理 税制

森林環境譲与税を活用して森林整備事業などを行う市町村が増えてきた。総務省と林野庁が11月15日に公表した最新の調査結果によると、今年度(2022年度)は市町村に配分された440億円の譲与税のうち92%にあたる405億円が活用される見通しだ(トップ画像参照)。譲与税の導入当初は基金に積み立てて支出を先送りする市町村が多かったが、年を追うごとに活用率が上昇してきている。

2022年度は405億円を使い、基金への積み立ては減少

2019年度に導入された譲与税は、段階的に配分額(譲与額)を増やす仕組みになっている。初年度である2019年度は総額200億円が譲与され、市町村に160億円、都道府県に40億円が配分された。翌2020年度は譲与総額が400億円に倍増され、市町村に340億円、都道府県に60億円を配分。以降、都道府県への配分額は60億円で固定されるが、市町村への配分額は今年度から440億円に増え、森林環境税の徴収が始まる2024年度からは540億円に引き上げられることになっている。

自民党プロジェクトチームの提言など踏まえ、基準見直し議論へ

譲与税の配分額が拡充される市町村にとって最大の課題は、この新たな財源をいかに有効活用するかだ。2020年度時点の活用率は50%を下回り、森林の少ない都市部の市町村などは、受け取った譲与税を一旦基金化して使い道を探すような対応も目立った。

このため自民党のプロジェクトチーム(PT)は、人口の多い都市部に有利とされる譲与税の譲与(配分)基準を見直して、森林の多い山間部の市町村の受け取り額を増やすこと検討すべきと5月末に提言。また、林野庁は、5月から8月にかけて500弱の市町村を直接訪問して譲与税の活用促進を働きかけるキャラバンなどを行ってきた。

こうした取り組みと市町村の体制整備が進んだことで、譲与税の活用は着実に進んできており、譲与基準の見直しを検討する環境も整ってきたといえる。自民党の農林部会は11月10日の会合で、来年度(2023年度)の税制改正に向けた重点要望事項に「譲与基準に係る所要の見直しの検討」を盛り込んだ。2024年度の徴税開始に備えて、譲与基準の見直し議論が1つのヤマ場を迎える状況になってきている。

(2022年11月15日取材)

『林政ニュース』編集部

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