「地域林政アドバイザー」は何をしているのか? ──初のアンケートから現状と課題を探る

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市町村や都道府県の森林・林業行政をサポートするために2017年度に制度化された「地域林政アドバイザー」。彼らを対象にした初めてのアンケート調査が行われ、現状や課題の一端が明らかになった。

60歳代が最多、「常勤(週5日)」と「3~4日程度」で76

アドバイザーは、昨年度(2021年度)時点で市町村に226名、都道府県に32名の計258名が在籍している。2017年度の制度開始時は38名だったが、以降は右肩上がりで人数が増えており、林政のプロが不足している市町村にとって貴重な存在となっていることが窺える。市町村がアドバイザーを雇用する際には、特別交付税で人件費を支援する措置が講じられていることも採用を後押ししている側面がある。

林野庁は今年(2022年)7月に、アドバイザーの活動状況に関する初のアンケート調査を実施し、173名から有効回答を得た。その結果から要点をピックアップすると、まずアドバイザーの“出自”で最も多かったのは「林野庁又は都道府県等の研修受講者」(37%)、続いて「森林総合監理士又は林業普及指導員」(30%)だった。

年齢は、60歳代が57%で過半を占め、50歳代が15%、40歳代と10~30歳代がそれぞれ12%、70歳代以上も4%いた。

勤務日数は、「週3~4日程度」が40%、「常勤(週5日)」が36%で、回答者の4分の3はほぼ毎日出勤している。一方で、「アドバイザーに専従している」と回答したのは63%で、「他の職業を兼務している」との回答が37%あった。

市町村はマンパワー、知識・アイディア、予算が不足している

アドバイザーに就任したきっかけは、「市町村等から直接情報提供や相談を受けた」が54%で最も多く、「勤務先からの指示により就任した」も14%あった。周りからの働きかけによらず「自分の意志で応募した」との回答は8%だった。

就任にあたって魅力と感じたことのトップは「経歴を生かした仕事ができるから」で40%。一方、不安に感じたことの最多回答は「具体的な業務内容が分からない」の41%。また、勤務している市町村での課題については、「マンパワーが不足している」(44%)、「知識・アイディアが不足している」(25%)、「予算が不足している」(6%)などがあげられた。

業務は技術的助言が中心、78%が継続希望、活動の後押しが必要

では、アドバイザーは、具体的にどのような業務に携わっているのか。回答結果はトップ画像のとおりで、「森林経営管理制度に係る事務の指導・助言」(27%)が最も多く、「伐採・造林の指導・助言」(17%)、「市町村有林の管理等への助言」(14%)などが続いた。業務への関わり方は、「技術的助言を行いつつ、自ら企画・立案を行っている」が30%、「自ら企画・立案を行いつつ、補助的な業務にも従事」が22%、「補助的な業務のみ」が21%、「技術的助言のみ」が18%だった。

業務への満足度に関する設問に対しては、28%が「満足」、54%が「やや満足」と回答。不満の理由としては、前述のマンパワー不足のほか、「市町村とアドバイザーとの情報共有や役割分担が不十分」、「森林簿の更新などに当たって県との連携が不十分」などが指摘された。

アドバイザーを続けたいかという設問には、78%が「契約を更新したい」と回答し、アドバイザー同士で情報交換等を行う仕組みについても、「あった方が良い」という回答が82%を占めた。全般的にアドバイザーを続ける意欲は高く、その活動を後押しすることが求められているようだ。

(2025年12月1日取材)

(トップ画像=「地域林政アドバイザー」として携わっている業務(上位3つを回答))

『林政ニュース』編集部

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