大規模温室トマト工場の熱源に市有林材など活用──むつ市

大規模温室トマト工場の熱源に市有林材など活用──むつ市

木質バイオマスを熱源とする大規模温室トマト工場の操業を通じて脱炭素化や地元産材の活用、森林整備の促進などを目指す新規事業が青森県のむつ市で始まった。4月24日に、同市(山本和也市長)とトマト工場を運営する(株)寅福プラント(加藤夢人社長)及び下北地方森林組合(森川石勝組合長)の3者がGX(グリーントランスフォーメーション)推進協定を締結し、農業と林業の連携強化によって地域活性化を図ることを申し合わせた。

新規事業の中核となるトマト工場は、ストッキング製造工場の跡地を再利用した約8haの敷地内に約3.4haの温室(ガラスハウス)を新設し、周囲にチップヤードや木質バイオマスボイラー、排ガス浄化装置などを整備した。昨年(2023年)4月に着工し、今年(2024年)4月に工事を終え、5月から本格稼働に入る。年間で最大約1,500tのトマトを生産する能力を持ち、販売額は7~8億円に達する見込み。従業員数は約120名(すべて地元雇用)、総事業費は約33億円の大型プロジェクトとなっている。

温室の熱源は木質バイオマスボイラーで賄い、燃料には市有林などから産出される未利用木材をチップ化して用いる。年間の木材使用量は約9,000m3になる予定。また、トマトの販売収益の一部で植林などの森林整備を進め、事業全体でカーボンマイナスを実現する。トマト工場の安定操業を支えるため、(株)青森銀行と(株)日本政策金融公庫札幌支店が資金支援する体制をとっている。なお、同市は、4月1日付けで県職員OB(林業職)1名を地域林政アドバイザーとして採用した。

(2024年4月24日取材)

(トップ画像=工場建設地でGX推進協定締結式を行った)

『林政ニュース』編集部

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