長野県は、今年度(2022年度)末で期限切れとなる「森林づくり県民税(森林税)」を来年度(2023年度)から5年間継続するための基本方針を11月22日に決定した。
2008年度に創設された同税は、これまでの3期・15年間で約3万4,000haの森林整備(里山の間伐等)を実施するなどの実績を上げている。だが、民有林人工林の約8割が50年生を超え、主伐・再造林を進めて“若返り”を図ることが急務になっているほか、「開かれた里山」づくりや森林サービス産業などへの支援、多様な林業の担い手確保・育成などの行政ニーズに対応するため、来年度以降も同税を財源とした対策を行うことにした。税額は現行と同じく個人は年500円、法人は均等割額の5%とする(県民税均等割の超過課税方式)。
再造林の加速化に向け「ガイドライン」を作成へ
同県は、基本方針を策定するにあたり、素案を9月22日に公表して1か月間のパブリックコメントを行うとともに、市町村説明会等を実施して県民からの意見や要望を受け付けてきた。これを踏まえ、重点課題である主伐・再造林の推進に関しては、今年度中に同県版の「ガイドライン」を作成して、具体的な施業方法や留意点などを示すことにした。また、森林所有者の負担を軽減するため、植林と初期保育に必要な標準的な経費については、全額補助の対象とする。
このほか、国が2019年度に導入した森林環境譲与税との“すみ分け”に関しては、トップ画像のように考え方(視点)を整理した。第3期まで実施していた市町村ごとに定額配分する森林づくり推進支援金については、地域で必要度の高い事業をメニュー化する方式に再編する。 同県は、基本方針に沿って同税を延長するため、11月30日に開会した県議会で関連条例を改正することにしている。
(2022年11月22日取材)
『林政ニュース』編集部
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