建築物木材利用促進協定の締結数が70件に増加 6省庁の連携本部が第3回会合を開催し検証

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建築物木材利用促進協定の締結数が70件に増加 6省庁の連携本部が第3回会合を開催し検証

政府の木材利用促進本部(本部長=野村哲郎・農林水産大臣)は、3月30日に3回目の会合を開き、都市(まち)の木造化推進法(改正木材利用促進法)に基づく取り組みの進捗状況などを検証した。

6省庁で構成している同本部の事務局をつとめている林野庁が最新の取り組み成果などについて説明。同法の目玉として創設された建築物木材利用促進協定制度に関しては、3月15日時点で企業・団体等と国との協定締結数が10件、地方公共団体との間では60件が結ばれ、合計70件に達していることが報告された。今後も協定締結数は増えていく見通しとなっており、事務局は、「このトレンドをさらに続けていきたい」とした。

図1 中高層木造建築物の床面積の推移

木材利用拡大の重点ターゲットとなっている非住宅建築物を巡る状況については、トップ画像のようなグラフが示され、木造の床面積と木造率(床面積ベース)は、ほぼ横ばいで推移していることが伝えられた。関連して、昨年(2022年)に着工された中高層木造建築物の床面積は前年より約4,600m2増の約2万5,000m2に伸び、過去10年間でみても概ね増加傾向となっていることが報告され(図1参照)、これから木造化を進めることによって、新たな木材需要を生み出すポテンシャルが高いことが改めて確認された。

国の低層公共建築物の木造化率は97%、次は「4階建て以上」がターゲット

木材利用の促進では、国(中央省庁)が整備する低層公共建築物(3階建て以下)の木造化を進めることも重点課題になっている。

3月30日の会合では、2021年度の実績が棟数ベースで公表された。同年度に国が整備した公共建築物で木造化されたのは75棟、内装等の木質化を行ったのは177棟で、木造・木質化で使用した木材量は5,546m3、このうち国産材の使用量は3,421m3だったことが報告された。

図2 国が整備する公共建築物のうち積極的に木造化を促進するとされた公共建築物の木造化率の推移

林野庁と国土交通省は、中央省庁が「木造化になじまない」と判断した物件について検証し、木造化を働きかける取り組みを続けている。この結果、同年度の木造化率は97%に上昇し、4年連続で90%を上回った(図2参照)。

国が率先垂範する低層公共建築物の木造化はほぼ目的を達成した水準となっており、今後は、「4階建て以上の公共建築物をどれだけ木造化していけるか、設計段階からの働きかけが重要になる」(林野庁幹部)という状況になっている。

(2023年3月30日取材)

(トップ画像=非住宅建築物の構造別の木造の床面積と木造率の推移)

『林政ニュース』編集部

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