足場板専門のウッドプロが関東圏に初出店 手にとって確かめる拠点がさいたま市に誕生

足場板専門のウッドプロが関東圏に初出店 手にとって確かめる拠点がさいたま市に誕生

スギ足場板専門業者の(株)WOODPRO(広島県廿日市、中本敬章社長、以下「ウッドプロ」と略)は、5月1日に関東圏で初となる直営店を埼玉県さいたま市にオープンした。

スギの足場板は高速道路や橋梁、社寺仏閣などの建設現場などで使用され、およそ3〜5年で寿命を迎える。同社は、現場での使用を終えた足場板を買い取って内装用の木材に再生するとともに、家具やインテリア製品などに加工して、主にオンラインで販売している。実店舗は広島県の本社にあるが、関東圏の顧客から実際に手にとって品質等を確かめてから購入したいとの声が上がり、埼玉県への進出を決めた。

足場板を内装用木材として再利用

さいたま市に開設した直営店は、アップサイクル製品などを取り扱う3社が協力して改装した倉庫「R-treeさいたま」の一角にある。店内では、回収した足場板を古材風に再生した各種の内装用木材や、家具や机・椅子などが展示・販売されている。内装用木材の売れ筋サイズは、長さが1,900mm、幅は200mmと210mm、厚さは15mmと30mmで、サンダー仕上げを行ったタイプやサンダーをかけないラフな製品などを揃えている。最近は、古民家の床材として求める顧客が増えているという。

野焼き処分は「もったいない」、再利用のルールづくりを主導

ウッドプロは、足場板の販売・リース会社として1987年に創業した(設立時の社名は(株)住建リ-ス)。当初は、取引先から同社に戻ってくる足場板を野焼きで処分していた。その光景を見た初代社長の中本昭文氏が「もったいない、なんとかならないか」と嘆き、子息の敬章氏が1999年に内装用木材に再生して木工品等を製作する事業を開始。2000年には大手ECサイトの楽天市場で販売を始めた。その後、2001年に野焼きが禁止されて、使用済みの足場板は産業廃棄物扱いとなり、取引先の経営を圧迫するようになった。そこで同社は、不要になった足場板を買い取る事業を本格化させるとともに、足場板の廃棄基準書を作成するなど、再利用を軌道に乗せるためのルールづくりを主導してきた。

年間1,000tの足場板を査定、アップサイクル市場を開拓

現在、ウッドプロには関東から九州に至る各地から不要となった足場板が持ち込まれており、年間約1,000tを査定している。足場板の回収は、基本的に同社の13tトラックで行っている。トラック1台に約800枚の足場板を積載でき、満載した場合の査定額は約10万円で、取引先には運賃が引かれた金額が支払われる。

同社の年間売上高は約8億円で、このうち約2億円は創業時から行っている足場板の販売・リース事業、残りの約6億円は足場板の再利用事業が稼ぎ出している。社員は67名で、その約6割を占める60歳未満のスタッフが現場管理等を行い、約4割の60歳以上のスタッフは足場板の洗浄や釘抜き等を担っている。

中本敬章・ウッドプロ社長

約20年間かけてスギ足場板を再利用する仕組みをつくってきたウッドプロ。その先頭に立つ第2代社長の中本敬章氏(64歳)は、最近の状況について、「廃材などをより良い製品に変換して価値を高めるアップサイクル市場が盛り上がっており、当社への問い合わせや注文も増えてきた」と口にし、「今後はオンラインだけでなく、実店舗の運営やホームセンターへの委託販売などにも注力して需要を開拓していきたい」と話している。

(2023年5月1日取材)

(トップ画像=さいたま市の新店舗では、回収したスギ足場板からつくった家具や木製品などを展示・販売している)

『林政ニュース』編集部

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