ウイングら4者が再造林可能な価格で1万m3以上取引、全国初の協定

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ウイング(株)(東京都千代田区、倉田俊行社長)、佐伯広域森林組合(大分県佐伯市、戸髙壽生組合長)、ウッドステーション(株)(千葉県千葉市、黒岩征社長)、佐伯市(田中利明市長)の4者は、都市(まち)の木造化推進法に基づいて再造林を促進する木材取引協定を6月9日に締結した。林野庁によると、同法を根拠にした協定で取引価格と取引量を明確に規定したのは全国で初めて。

2×4(ツーバイフォー)建築資材を製造・販売するウイングは、佐伯広域森林組合が供給するスギの2×4材を再造林可能な価格で年間1万m3以上購入する。森林管理から製材まで一気通貫で手がける佐伯広域森林組合は、約17億円をかけて2×4材用フィンガージョイントの加工設備などを整備し、来年度(2024年度)末から稼働する予定。木造軸組建築用大型パネルを展開するウッドステーションは、同取引を効率的な物流システムなどで支え、佐伯市は、同協定の支援や情報発信を行う。

同協定のポイントは、通常の製品価格に再造林費用を上乗せした価格で一定量の取引をすること。価格は非公表だが、4者間で再造林に関わる費用や負担を透明化し、各者が協力して補助金に頼らない林業の実現に取り組む。

ウイングは、通常の製品価格より高く購入することになるが、ユーザー等への価格転嫁は行わず、生産コストや物流コストの削減など企業努力によって再造林費用を捻出する。

ウイングとウッドステーションは、昨年(2022年)12月に業務提携を結んでいる。ウッドステーションの塩地博文会長は、「良い製品を高く購入し、生産プロセス・物流の工業化を図れば、2×4建築用パネルはトータルコストで競争力を持つ」と話しており、佐伯広域森林組合の今山哲也参事も、「2×4材の生産を始めることで、大径材化していく森林資源を有効活用できる。山元への還元を進め、再造林率を高めたい」と意欲をみせている。

(2023年6月9日取材)

『林政ニュース』編集部

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