高知県の仁淀川町(古味実町長)は、6月23日に開いた仁淀川町森林保全基金の総会で、「仁淀川町再造林率100%宣言」を行った。同宣言に基づき、経済林の再造林率100%、非経済林の広葉樹林化、再造林の担い手育成に取り組む。
同町は、2021年度に「仁淀川町林業総合戦略」を策定し、2030年度までに原木生産量を1.7倍に増やす目標を掲げ、間伐主体から皆伐中心に森林施業をシフトさせている。同戦略では、町内の森林を経済林、環境保全林、自然林にゾーニングしており、「再造林率100%宣言」に則って、経済林の皆伐跡地には無花粉のスギ・ヒノキを植栽する。このため、国や県と連携して無花粉苗木の採種園を整備する検討を進める。非経済林については、天然更新による広葉樹林化を原則とし、天然更新が困難な林地や誘導したい目標林型がある場合は、地域性苗木を植栽する。同町では、昨年(2022年)から広葉樹の地域性苗木を育苗している。
再造林の担い手育成では、既存事業体からの参入促進と、町の創業補助金(上限100万円)を活用した造林事業者の起業支援を行う。同町では、2016年度から独自の林業研修制度によって約35名が町内で働いており、同研修のOBも起業を予定している。
一連の取り組みに関する費用は、仁淀川町森林保全基金から捻出する。同基金は、昨年12月に町森林管理推進協議会の会員や町内外の素材生産業者、木材加工等事業者などで設置し、素材生産量や購入丸太量に応じて協力金を拠出している(トップ画像参照)。
なお、同県では今年度(2023年度)から再造林強化事業が行われており*1、同町の取り組みは先行モデルの1つとなっている。
(2023年6月23日取材)
(トップ画像=仁淀川町森林保全基金の概要)
『林政ニュース』編集部
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