独特の木目や色味を高いデザイン力で活かし女性客の心を掴む
モリタインテリア工業が手がける「9×9シリーズ」では、材料に国産のセンダン、ヒノキ、クスノキ、センノキ、スギの5樹種を用いており、とくにセンダンの利用に力を入れている。
その理由について、同社の森田晃司社長(35歳)は、「センダンには独特の木目や色味があり、他の木製家具にはないポテンシャルを持っているから」と言い、「センダンと弊社のデザイン力を組み合わせることで国産材家具の新しい魅力を引き出せる」と続けた。
三越本店での展示会では、ブースを横切る夫婦・カップルや女性グループが足をとめ、センダンの家具に触れるシーンが頻繁にみられた。
展示会を主催したGREENの武田佳代・代表理事は、「センダン家具の木目を見ると『何これ!?』という驚きがある。丸みを帯びた柔らかでモダンなデザインも女性客の心を掴んでいるのではないか」と評価している。
森田社長は、「事業者向けにはセンダンのストーリー性が刺さっている」とも話す。同社も所属する協同組合福岡・大川家具工業会(大川市)では、センダン家具を地域ぐるみで普及するプロジェクト「SENDAN」を進めており、「公共施設の待合室や飲食店などカジュアルな空間での導入が増えている」という。
木材不足・高騰を受けて国産材にシフト、未利用広葉樹の活用も視野
モリタインテリア工業は、1950年に創業した総合家具メーカーだ。テレビボードやダイニングボードなどの箱物家具から椅子やテーブルなどの脚物家具まで手がけ、オーダーメイドにも対応している。社員数は約80名、年間売上高は約10億円に達する。
同社の3代目社長である森田晃司氏は、大学卒業後に大阪府の靴下メーカーで修業し、8年前に同社へ入り、2022年からトップとして陣頭指揮をとっている。

その森田社長は、「木材不足や価格高騰をきっかけに国産材の利用を考えた。地元の後押しもあった」と語り、「今後は国産材比率をさらに高めていく」と語気を強めた。昨年(2023年)、自社工場を国産材で建て直したばかりであり、若さを活かした積極果敢な経営姿勢は業界内でも一目置かれている。
センダンの利用では、歩留まりの向上を重点テーマに位置づけている。「9×9 Table Ⅱ〈SENDAN〉」では、天板をツキ板にし、脚部をムク(無垢)材のパーツに分けることで、製品全体の歩留まりを高めた。

「大川は箱物家具の産地であり、元気なツキ板メーカーもある。これまで培ってきたノウハウを活かして、地元の資源を無駄なく使っていけば需要は創り出せる」と前を向く森田社長は、「センダンの認知度を高めながら、あまり使われていない広葉樹にもチャレンジしていきたい」と目を輝かせている。
(2024年6月19日取材)
(トップ画像=展示会で展示された「9×9 Table Ⅱ〈SENDAN〉」(中央、税込189,200円)、9×9 Chair Ⅱ〈SENDAN〉(左、税込62,700円)、「9×9 Chair Ⅱ〈SENDAN〉本革ブラック」(右奥、税込64,900円))

『林政ニュース』編集部
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