農林水産省は8月31日に、来年度(2024(令和6)年度)予算概算要求を財務省に提出した。林野庁関係の要求額は3,557億1,200万円で、対前年度当初予算比では16.4%の増となる。予算の伸びを左右する「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」と「総合的なTPP等関連政策大綱」などに関する経費は、前年度と同じく事項要求とし、「予算編成過程で検討」するとした。
林野予算要求の内訳は、公共事業が同18.7%増の2,350億300万円、非公共事業が同12.0%増の1,207億900万円。
林野予算の太宗を占める一般公共事業の要求額は、森林整備事業が1,500億200万円、治山事業が746億200万円で、ともに同19.8%増の伸び率となっている。
非公共事業では、既存の施策や事業などを統合・再編し、「花粉削減・グリーン成長総合対策」として222億円を要求した。公共事業の森林整備事業でも花粉削減を目的とした伐採・植え替えを支援する新規事業を要求しており、林野予算全体で花粉対策を抜本的に強化する内容となっている。
組織・定員要求に関しても、森林利用課内に「花粉発生源対策調整官」(仮称)を新設することを要求している。
税制改正要望に「譲与基準の見直し」、人工林面積の割合重視
林野庁は来年度予算要求とともに、税制改正要望事項に、「森林整備を一層推進するための森林環境譲与税の譲与基準の見直し」を盛り込んだ。昨年末に決定した与党の「令和5年度税制改正大綱」に「森林整備をはじめとする必要な施策の推進につながる方策を検討する」と明記されたことを踏まえ、現行の「私有林人工林面積(5割)、林業就業者数(2割)、 人口(3割)」という譲与税の配分割合を変更して、森林の多い自治体への配分額を多くすることを検討する。具体的には、私有林人工林面積の配分割合を引き上げることが有力視されている。
来年度からは、森林環境税の課税(1人年額1,000円を徴収)が始まる。納税者である一般国民や都市部の自治体の理解を得ながら“望ましい譲与基準”を示していくことが大きな課題となっている。
(2023年8月31日取材)
『林政ニュース』編集部
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