伊藤忠が大建工業を完全子会社化へ、国内住宅市場の縮小睨む

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大手総合商社の伊藤忠商事(株)(東京都港区、石井敬太・代表取締役社長COO)は、住宅資材大手の大建工業(株)(大阪府大阪市、本店=富山県南砺市、億田正則・代表取締役)を完全子会社化する方針を8月10日に発表した。すでに大建工業の株式の約36%を持ちグループ会社としているが、最大で約500億円を投じる株式公開買い付け(TOB)を行って、全株の取得を目指す。TOB価格は1株当たり3,000円で8月10日時点の終値より約29%高く、大建工業もTOBへの賛同と株主に対する公開買い付けへの応募推奨を同日付で表明した。買い付け期間は、8月14日から10月10日まで。大建工業はTOB成立後、自社株を消却して伊藤忠商事の完全子会社となり、上場を廃止する予定。

大建工業の前身である大建木材工業(株)は、伊藤忠財閥の大建産業(株)から林業部門を引き継ぎ、1945年9月に富山県の旧利賀村(南砺市)で創業した。伊藤忠商事との資本関係は1953年から続いており、両社は協業体制を維持してきたが、ここで完全子会社化に踏み切る背景には、国内住宅市場の縮小がある。

伊藤忠商事は、大建工業を完全子会社化する狙いとして、国内住宅事業の収益力強化と非住宅事業の拡大とともに、北米を中心とした海外事業の強化・拡大をあげており、国境を越えたグローバルビジネスを展開する中で、大建工業が培ってきた経営資源を活かしていく方針だ。  

なお、大建工業は、2025年に向けて策定した長期ビジョン「GP25」の中で「国産木材の活用促進」を重点課題の1つに位置づけ、床材を中心とした製品開発や販路開拓などの取り組みを強化してきている。

(2023年8月10日取材)

『林政ニュース』編集部

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