政府は11月28日の閣議で、今年度(2025年度)の補正予算(案)を決定した。林野関係の補正追加額は約1,419億円で、比較対象となる前年度(2024年度)の補正予算(約1,416円)*1を約3億円上回った。
今年度林野関係補正予算の内訳は、公共事業が約1,155億円、非公共事業が約264億円。予算の主力である公共事業は、前年度補正予算(約1,180億円)を約25億円下回ったが、これは災害復旧等事業に関する経費が減少したためで、実質的な政策経費である森林整備事業は前年度補正予算より約17億円増の約523億円、治山事業も同じく約30億円増の約340億円といずれも伸びている。非公共事業も前年度補正予算(約236億円)を約28億円上回り、「補正予算として必要な金額は確保できた」(林野庁幹部)という状況だ。今後は、年末に決まる来年度(2026年度)当初予算(案)の確保が焦点となる。

従来どおりの補助メニューを揃える、林野火災対策やクマ対策も強化
今年度補正予算に盛り込まれた主要事業は、前年度補正予算とほぼ同様のラインナップとなっている。
森林整備事業では、防災・保水機能を高める間伐・再造林や林道の整備・強化などを推進するほか、林野火災対策として山火事防止施設を備えた林道や防火林帯の整備、クマをはじめとする野生鳥獣対策として広葉樹林化や緩衝林帯の整備などを強化する。
治山事業については、山地災害危険地区や重要インフラの周辺で治山施設等の整備を進め、国土の強靭化につなげる。
非公共事業の柱は、従来と同じく「林業・木材産業国際競争力強化総合対策」で、公共事業から回す約265億円を含めて約450億円を計上した。森林の集積・集約化や林業のDX化、人材の育成、木材需要の拡大などを総合的に支援して、国産材の安定供給体制づくりを図る。
このほか、「花粉の少ない森林への転換促進緊急総合対策」(予算額は約57億円)、「燃油・資材の森林由来資源への転換等対策」(同14億円)、「シカ等による林業被害緊急対策」(同約2億円)を継続し、「森林被害拡大防止総合対策」(同約7億円)では松くい虫やナラ枯れ対策を強化する。
(2025年11月28日取材)
(トップ画像=2025(令和7)年度林野関係補正予算の概要)
『林政ニュース』編集部
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