飯田グループホールディングスがロシアの大手林産企業を買収、400万haの森林も

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大手住宅メーカーの飯田グループホールディングス(飯田GHD、東京都武蔵野市、兼井雅史社長)は、ロシア極東地域の大手林産企業・ロシアフォレストプロダクツ社(RFP社)を買収する。12月8日に記者会見を開き、発表した。

RFP社は、ハバロフスクを拠点に森林経営や木材加工事業を行っており、保有する森林(エゾマツ・カラマツ林)の面積は約400万haと九州の総面積に匹敵する。年間の原木伐採量は約170万m3に達し、飯田GHDが1年間に建築する住宅(約4万6,000戸)の木材使用量に相当する。

RFP社の前身は、旧ソ連時代の国営林産企業・ダリレスプロムで、1991年に民営化し、2004年に社名を「RFP」に変更した。飯田GHDは、RFP社の株主である中露投資ファンド、ミルハウス、Invest AGの3社から株式の75%を取得し、経営権を握る。投融資を含めた取得総額は約600億円になる。

国内5工場に加え海外からの調達を強化、ESG含め投資加速

飯田GHDは、福井県の福井市と大野市、栃木県の真岡市に各1工場、青森県六戸町に2工場の計5工場を有する。5工場を合わせた月間原木消費量は5万4,000m3、製品生産量は2万2,500m3に達している。一方、海外からの木材製品調達も増やしている。

買収するRFP社については、約170億円を投じて加工設備を増強し、集成材用ラミナや合板用の単板に加えて、LVLやCLT、木質ペレットなども生産していく計画。これらの製品を飯田GHDの住宅などで利用するだけでなく、中国などの成長市場にも供給していく方針だ。

飯田GHDの富島寛・常務執行役員は、「国内外の比率はとくに決めていない。グローバルにバランスをとって展開していく」と話している。RFP社の買収では、約400万haの森林保有を通じて年間950万t程度の二酸化炭素(CO2)を吸収できるとの試算を示し、ESG投資の一環であることを強調した。大手住宅企業の国境を問わないビジネスが一段と加速してきている。

(2021年12月8日取材)

(トップ画像=東京都内のホテルで大型投資に関する記者発表を行った)

『林政ニュース』編集部

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