木造・木質化へ規制緩和も「4号特例」は縮小【話題を追う】

全国 木造住宅 法律・制度

脱炭素化や省エネ推進を目的とした住宅・建築政策の新たな方向性が打ち出された。国土交通省の社会資本整備審議会(会長=進藤孝生・日本製鉄(株)会長)が2月1日に国交大臣に答申し、①建築確認の見直し、②省エネ性能の引き上げ、③木材利用の促進、④既存ストックの長寿命化──の4点を重点事項にあげた。

これらを実行に移していくためには建築基準法などの改正が必要であり、今国会中に法改正まで辿り着けるかは不透明な状況だが、木材需要の拡大につなげるためには、早めにポイントを押さえておく必要がある。

最も注目される③木材利用の促進に関しては、木造建築物が二酸化炭素(CO2)を貯蔵する点を高く評価し、現行の規制を緩和して、木造・木質化を進めやすくすることを提言。3階建ての小規模木造建築物については、簡易な構造計算が適用できる範囲を、現行の高さ13m以下から16m以下に拡大する案を示した。延床面積3,000m2超の中大規模木造建築物に関しても、防火規定を見直して木材を(あらわ)しで使いやすくすべきとしている。

その一方で、省エネ化等に伴って重量化している建築物の安全性を確保するため、建築確認が省略できる「4号特例」の範囲を縮小することを提案。今は2階建て以下、500m2以下の木造建築物では構造計算は不要となっているが、これを見直して、2階建て以上または200m2超のすべて建築物で構造計算を行うことが必要とした。

全般的に木材利用には“追い風”といえる答申内容ではあるが、今の仕事や事業を単純に続けているだけでは、この“風”をキャッチできない恐れもある。法改正の動向などをウォッチし続けていく姿勢が必要になっている。

(2022年2月1日取材)

(トップ画像=現在の「4号特例」の範囲(左上))

『林政ニュース』編集部

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