現在の外国人技能実習制度に代わって再来年(2027年)4月からスタートする「育成就労制度」に関する転籍制限期間が明らかになった。出入国在留管理庁と厚生労働省が設置している有識者会議が9月17日の会合で産業分野ごとの案を示し、林業及び木材産業については、就労先の企業等(育成就労実施者)を1年で変更できるとした。一方、建設や工業製品製造業など8分野では、転籍に2年の制限期間を設ける。年内には転籍制限を含む分野別運用方針を閣議決定する。
技能実習制度では暴行及び各種のハラスメントを受けたときや重大な法令違反があった場合などを除いて転籍を認めていない。これに対し、育成就労制度では一定の要件を満たせば、同じ業務に従事する範囲で本人の意向による転籍を認める。転籍をする外国人材には、育成就労の開始時に必要な「A1」と、特定技能1号への移行時に必要な「A2」の間に相当する日本語能力を求める。
林業及び木材産業分野の転籍制限期間が1年となったことで、外国人材にとっては受け入れ企業等を選ぶ自由度が高まり、働きやすい就業環境などを整えた企業等には外国人材が集まりやすくなるとみられる。ただし、転籍が繰り返されると技術の習得が滞ることも懸念され、「メリットとデメリットをよく見極める必要がある」(林野庁経営課林業労働・経営対策室)という状況になっている。
(2025年9月17日取材)
『林政ニュース』編集部
1994年の創刊から31年目に突入! 皆様の手となり足となり、最新の耳寄り情報をお届けしてまいります。